一緒に歩こう (プロフィール その2)

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Nice!

ちびごんはどうやら自閉症という障害らしいとわかり、私は本屋さんで自閉症について書かれた本を買ってきて読むようになりました。

自閉症についてえらい先生達が書いた本に悲しいことが書いてありました。まとめるとこんなことです。
『自閉症の子は人の表情が読めない。親と他人との区別も付かない。人間と物との区別ができない場合もある 彼らは1人の世界で満足していて親の愛情は理解できないし必要としていない。彼らには愛情というものが理解できない』
おかあさんは必要ないの?
いつもわたしはちびごんの後姿ばかりを見て毎日を過ごしている。ちびごんはわたしが声をかけても気にせず、排水口から水が流れるのを嬉しそうに観ているし、何度叱ってもまるで気にしていないかのように水をジャージャー流して遊んでいる。
お母さんより水が好き?
“私はこの子には必要ないんだろうか。”

ある日、ちびごんいつものようにが嬉しそうに1人で遊んでいるときに2階にこっそり隠れてみました。

しばらくすると、ちびごんが“あー、あー”といいながら動き始めました。“あぅあぅ”と悲しそうな声であっちのドアを開け、走り、こっちのドアを開け・・そして最後に“わあああああああああ!”と泣き出しました。

わたしは階段を降りタオルに顔をうずめてわーわー泣き続けているちびごんに声をかけました。

ちびごんは涙ぐしゃぐしゃになった顔を上げ、わたしの顔をしばらく見ていました。そしてなにごともなかったように手をひらひらさせてひとりごとのように歌を歌い始めました。

泣きながら抱きついてくるわけでもないけれど、わたしはちびごんにとって必要な存在なのだとわかりとても幸せな気持ちになりました(気持ちを試してごめんね)

“えらい先生の言うことなんて信じなくていいんだ”

※のちに脳波の研究などで、自閉症の子にも愛情があり親に対する特別な思いもあると分かってきたそうです。

みんながいるよ

3歳になったちびごんを市内の有名な脳外科の先生に診てもらいました。正式に『自閉症』と診断されました。

障害児を受け入れてくれる幼稚園に通う準備をしていましたが、オムツが取れず幼稚園に入ることができませんでした。私とちびごんは、発達の遅れた子とその子のお母さんが通うことにしました。

かわいい子ども達、こどもたちのお母さんたち、信念を持って仕事をしている素敵な看護士さんや保育士さんたち、と過ごすうちに“こんな人生も悪くないな”と思うようになりました。

いつの間にかわたしの心の砂丘はちびごんと2人きりではなくなりました。

ゆっくりだけど、ちょっとづつだけど、成長している子供たち。こどもたちの手を取って歩くお母さんたち。こどもたちを見守ってくれる先生たちがいました。 続く

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