のび太と会話ができるようになっていったのはおそらく幼稚園年長の頃だと思う。ほぼオウム返しのみから次第に単語で意思を表そうとしてはいたものの、こちらの推理どおりではないことも多々あり、さらにこちらの意図も正しくは伝わらず。それが次第に会話らしくなっていることにこの上ない喜びを感じたりして。もちろん、今現在だって、のび太の言葉はスムーズではない。言い回しや「て・に・お・は」がおかしくなったりするのでうまく伝わらない事もあるけれどね。でも、会話にならなかった頃の不思議に思ってたのび太のあれこれを、今ののび太が真相を語ってくれる事があり、それは怪奇現象の謎解きでもしてくれるかのようで実に面白いのである・・・のび太が幼稚園に入る以前だったと思う。お昼におにぎりを作り、海苔でアンパンマンとしまじろうの顔を描いた。のび太に「アンパンマンとしまじろうのおにぎりだよ~」と、得意げに出して食べさせようとしたら、「ダメダメ~ダメ~~~!」と、号泣。「アンパンマン、しまじろう、ダメ~~~!」と激しく抵抗。じゃあ仕方ない。「お母さんがアンパンマンとしまじろうを食べるから のび太は普通のおにぎりね」と、私が食べようとしても「ダメ~アンパンマン、しまじろう、ダメダメ~」と、大騒ぎ。結局、のび太が昼寝したあとでこっそり食べたけど(笑)実は昨日、のび太とテレビを見ていたらのび太が幼稚園の頃、よくお弁当に入れていた、冷凍食品のポテトが出てきた。丸くてにっこり笑ったこんな→形のポテト。偏食が激しくてお弁当箱に入れられるもので食べられるものが限られていたのび太にとって(いや、私にとって、か?)実に重宝した食材だった。「ああ!のび太、覚えてる?このポテト!」思わず、懐かしさの余り、叫んだ私。「うん、すごく覚えてるよ~ ボク、こういう顔とかの形になってるヤツ、 苦手なんだよな~」「え?食べなかったの?」「食べてたけど、なんかツラくなってきちゃう、 っていうか・・・」そこで、冒頭のアンパンマンとしまじろうのおにぎりを思い出したのだ。その話をのび太に聞かせたら、「やっぱり。 なんか理由は良くわかんないけど なんかさ~苦手なんだよ。 つらくなって来る」「へえ、今でも?」「今でもだよ。 絵とかで描かれているのは平気なんだけど 顔とかの形、そのものの食べ物は、ちょっとね。」わかる気もするけど、わからん(笑)でも、こういう「過去ののび太の不思議」を「たねあかし」してくれるのがチョー面白かったりして。