「お気の毒」な「最悪の事態」

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Nice!

人によって、物事の捉え方というのは様々で、「どう感じるか」だから、「その感じ方は間違いだ」とか「そんな風に捉えるのはおかしい」ということはないと基本的には思うのだが・・・のび太の障害のことも知っている知り合いの人が子供の発達のことを心配していてのび太のことも知っていたからだと思うが私にいろいろ相談していた。「思い切って保健センターの発達相談、受けてみるよ」と、やっと重い腰を上げようとしていた。保健センターの発達相談は、精神科医によるものではないので確定的な診断はされないのだが、そういう場に行くこと自体が息子の「非・多数派」を認めているようで躊躇する、と、言っていた知り合い。「最悪の事態の時は、なぐさめてね~」と冗談めかした言い方で帰っていった。「最悪の事態」って、一体、どういう事態だ?彼女が帰ってから、う~ん・・・と、しばらく考えた。「子供が落ち着きなくなり、ちゃんと相談できなかった時」とか?いやいや、何言ってんの?違うよ!とは、たまたま遊びに来た私の妹の意見では、「『のび太みたいに発達障害の診断が出たらどうしよう』 ってことに決まってるでしょ~」ああ!そういうことなのか?!これだから私はやはり多数派の思考は出来ないのだ。なにせ、何度も記事にしているのでご存知の方も多いと思うが私はのび太が正式に診断された時、ホッとしすぎてケーキを買ってルンルンで帰った母なのだ。こんなヤツに多数派の母親の気持ちはやはり到底、理解できないのかもしれない。しかし、自閉症の息子を持つ私に、「最悪の事態(=障害を診断される)の時は、なぐさめて」って言える多数派の人間も、相手の気持ちを汲み取れない人と言っていいのではないですか~?そういえば思い出した。療育仲間のあるお母さんが言っていた。(彼女は関東地方から旦那様の転勤で引っ越してきた。 子供が診断されたのは関東地方の病院らしい)「私なんか、息子が診断された時、児童精神科医に 『お気の毒ですが、息子さんは自閉症です』 って、言われたんだよ~! その時は、『ハイハイ』って聞いてたけど後から思い返して 『え?!お気の毒ですが、って精神科医が言うか~?! って、頭にきっちゃったよ!」まあ、子供が自閉症と診断されたからといって、母親全員が、私みたいにルンルンでケーキを買って帰るお気楽母だ、とは言わない。ショックで寝込んだり、自分を責めたり、思い悩んで苦しむ人が多いのだと思う。そして、それが多数派の母親であるのだとも思う。子供に障害がある、ということが「最悪の事態」と思い、「お気の毒」と思われるのが一般的なのかもしれない。が、「最悪の事態」で「お気の毒」という言葉を私たちに投げかけることは失礼に当たらないのかなあ、などと、思ったりしてしまう。障害児が授かって「最悪の事態」ですね、と面と向かって言う人、「お気の毒ですが障害がありますよ」という医者、そういう気持ちこそが、「最悪」であり、そんな風にしか表現できない人こそが「お気の毒」ですな、と、思っちゃう私の考えはどうやら少数派なので賛同されない意見なのかもしれないけどね。