夏休み明けから心身症(=身体表現性障害とも言いますが)のご相談が何件か続いてありました。お腹が痛い。足が痛くて歩けない。めまい。学校に行こうとすると目が見えないという。休み明けから身体の病気がないのに微熱が続いている。子どもたちの心のSOSですよ、ということをお父さんお母さんにお伝えします。心にストレスがかかっていて身体がサインを出して訴えているわけですから、心身ともにゆっくり休むことが大事です。心が元気を取り戻せるように見守ってほしいということをお伝えします。疲れている心が再び元気をチャージできるのには時間がかかることもあるけれど、子どものペースを見守って、待ってあげてほしいということもお話します。ところが、最近どういうわけか、このような話をした時の親御さんたちの反応に「・・・?」と思うことが増えきました。おうちでのハードルを下げて、ゆるやかに接してほしいということも助言するのですが、子どもへの愛情を注げないことへの言い訳をストレートにおっしゃる方が以前に比べて多くなってきた印象を持っています。「だって、これ以上はもうどうしてやることもできない」「だって、これ以上甘やかしたら、つけあがってしまうじゃないですか」「子どもの言うことばかりに合わせていたら親が参ってしまう」「自分では精一杯やってあげているつもりなのに」「仕事をしているから時間がない」「自分でどうしたらいいかわからないから病院に来たんです」親の都合で子どもへの対応に限界を設けてしまうこと、「子どもがつけあがる」「わがままになる」からこれ以上優しくするなんて無理と言う・・・私自身も一体どう対応したらよいのか混乱してしまいます。優先すべき子どものことをそっちのけで、大人の事情を言い合っていても何の解決にもなりません。それぞれの家庭に様々な事情があることはもちろん考慮すべき事柄ですが、悲鳴を上げている小さな心を助けるために周りの大人ができるだけの努力をするのは当然のことではないでしょうか。「だって…」という言い訳を聞くとき、何とも言えないむなしい気持ちになります。仮に、目の前の子どもが命の危機に瀕しているとしたら「だって」という言い訳などしていられないでしょう。心の病気は、すぐに命にかかわるようなことはありませんが、心に負った傷は簡単に癒えることはなく、そのダメージはその後の心の育ちに大きな影響を与えます。問題解決に向き合うことを先送りにせず、子どもたちの心を育むためにどうか惜しむことなく愛情を注いでほしい…と診療の中で思うことの多い今日この頃です。