先日来より香穂の英語の時間に行われている ”自分の人生に影響を及ぼした3つのできごと” というシニアプロジェクト(高校4年の最後のプロジェクト。卒論に近い)ですが、すっごいのが出てきました。なんとこのプロジェクトは世界規模になる兆しです。 今日の順番の生徒は、中国から移民でやってきた女の子。もう素直で、私も香穂も大好き。さぞかしご両親の愛情一杯に育てられたのだろうと思いきや・・。 彼女は、子どもの頃に両親が離婚。原因はお父さんがとっかえひっかえ外に女を作ったからだそうです。それを知った御母さんは、離婚を決意します。離婚したものの中国では、自立できないと思った御母さんは 「私はアメリカにいくから。落ち着いたら、必ずあなたを迎えにくるから」 と言い残し、アメリカへと旅立ちます。それから、お父さんと一緒に住むのですが、そこからが地獄の日々のスタートです。中国では、離婚は、子どものせいとされるそうです。
*1 お父さんは、数年間にわたり、女性をとっかえひっかえ、家に連れてきては、一緒に住みました。 その女たちは、もちろんのこと彼女をいじめまくるわけで・・。なんせ離婚の原因の子どもですから・・。じゃ、学校にいると落ち着くのか?とおもいきや、学校に行ったら、行ったで、「家庭を壊した悪の子ども」は、いじめの対象で、生徒からいじめられるのは、もちろんのこと、学校の先生にも問題を間違うと彼女だけが叩かれるという暴力的なイジメもうける日々を数年送ります。 数年したところで、最後にお父さんが連れてきた女の人と再婚することになります。 新しい御母さんができたのですが、幸いこの御母さんが、とてもいい人で、 「あなたは、両親の離婚が自分のせいだと思っているとおもうけど、それは間違い。」 というのを毎日ように言ってきかせ、あなたは、悪くないからね。というのを彼女に刷り込んでいったそうです。 その時にはじめて「ほっとする」という感覚を味わったそうで。この御母さんは、中国一優しい人だと思ったそうです。 そんな生活にも動きがでてきます。 実の御母さんがアメリカにでていって、5年目のこと。 突然、御母さんから電話がかかってきて、 「1週間後にアメリカに住むから、準備して、○月○日○時のアメリカ行きの飛行機に乗りなさい」 といわれたそうです。取るものもとりあえず、心の準備もできないまま飛行機に乗ります。その時に彼女が知っていた英語の単語は3単語。 「アメリカにいったら、親の離婚は、私のせいっていわれるんだろうか?またいじめられるんだろうな。」 と不安だらけのアメリカ入りになりました。 どうせいじめられるのなら、最初に言っておこうとおもい、しばらくして友だちに親が離婚したことをたどたどしく話したそうです。今のお父さんは、新しいお父さんで、母がアメリカに来てから結婚した。と話したそうだ。 そしたら・・・・アメリカでは、誰も親の離婚を私のせいだといじめる人もいなくて、みんな親の離婚のことより、 「そうなんだ。中国から来たんだ。じゃ、これから、生活大変だよねー。」 と言って、みんなが、彼女を助けた始めたそうです。教科書を教えてくれる。英語を教えてくれる。教室移動もついてきてくれる・・。 面食らったのは、彼女のほうで、いじめられるのを覚悟していたのに、みんなが以前より優しくしてくれるので、 なんていい国なんだろう。とアメリカが大好きになったそうです。 彼女いわく 「離婚は子どものせいでもないし、離婚した親は、{育った環境がかわいそうだから、この子がかわいそう。}というあわれみの気持ちで育ててほしくない。それをされると、子どもが、新しい自分になろう!過去を忘れてとにかく今を一生懸命生きよう!と思っていても、過去に引き戻されて、新しい人生が歩めなくなる。自分はかわいそうという刷り込みがなされてしまいます。自分のことを自分自身でかわいそうと思った人が幸せというものを感じることはとても難しいものです。 離婚は、子どもにとって大きな事件だけど、それは大人同士の問題で、子どもに責任はないのに、「かわいそうだ」とか、「この子が悪い」とか大人の勝手な判断で、子どもを巻き込むような行為は止めるべきだ。子どもは子どもの社会があり、学校もあるので、離婚のことは、親で対応し、新しい人生に希望があることを伝えること、子どもに対しては、かわいそうという気持ちを絶対に持たないことができる社会や大人たちを私は望みます。 親の気持ちは口に出さなくてもある程度、 親が、我が子をかわいそうだと思っているのか?子どもが悪いんだと思っているのか?くらいは、どんな子どもでも理解はできます。私が望む社会は、子どもの環境がかわったら、親が自分たちの過ちにたいして、子どもに同情したり、悪だと思ったりして、子供を巻き込むことがなく、子どもが子どもらしく新しい人生をあゆめるようにして欲しい。過去のことは忘れて、子どもの新しい人生に手を添えてあげて欲しい。子どもの幸せを親として望むのならば、そういう親になってもらいたいし、そういう大人がいてほしい。私はそういう社会ができるような努力をしたいし、そういう大人になります。」 というものでした。 すごすぎる・・。 達観してる。彼女のあの優しさは、この経験からきて、学んだわけなのね。あの明るく、常に笑顔でよく笑いころげて、思いやりのある彼女。こんな過去があるとは思わなかった。 彼女には、彼氏がいて、2年近くつきあっているのだけど、学校一の感じがいいカップルです。人生いろいろあると、しなやかに強くなってゆく子どももいるんですね。話題が世界規模になってきた香穂のプロジェクトです。 香穂は、子どもは親の気持ちがわかるっていうのにえらく同意。私もそうだと言います。自閉は、2段階のこと(こうしたら、こうなる)は、わからないけど、一段階目の人の気持ちや、考えていることは、実は、誰よりも早く察知するんだよ。だから、渡はあんなに謝るし、いつもゆみちゃんに笑ってご覧っていうんだよ。 納得、たしかに、渡は私が落ち込んでいるようなときによく 「笑って〜!」 って言います。そうか、彼は、言葉が話せない分、雰囲気で感じ取るんだ。心の根っこで感じて生きてるのかもしれません。