ひびちゃんがじじちゃんの似顔絵を描こうと頑張っていました。でも…なかなか納得いかないようで、イライラしてきましたしかたがないので、私がクレヨンを持って、「はい、ひびちゃん。じじちゃんのお顔はね〜、サラサラサラ〜っとね〜、はい。こんな感じかな。どう?」するとひびちゃん、私が描いたじじちゃんの似顔絵、「すごい」と感動してくれました。たしかに…適当に描いたわりにそっくりだわ(笑)ひびちゃん、「じじちゃんにプレゼントする」と言い出しました。今何時だと思ってんの?もうすぐ寝る時間だよ!しかし、じじちゃんにこの似顔絵を届けると言い張り、涙目のひびちゃんパパは立ち上がりました。「オレ、ひびき連れて届けてくるよ。」もう途中でグズグズするか眠るに決まってるえ〜と躊躇する私をよそに、パパはひびちゃんの手を引いて玄関を出て行きました。しばらくたって…案の定、ひびちゃんはパパの胸の中ですやすやと寝息をたてながら帰ってきました。もうだから言ったじゃない「頑張って歩いたんだよ。じじちゃんに似顔絵を渡してすごく嬉しそうにしてさ。帰り道に眠くなったのか元気なくなって、抱っこする?って聞いたら、うんって。」嬉しそうに話すパパ。「オレ、小さい時にさ、お祭りに行きたいって言い張ったことがあったんだ。でも、その日は雨でさ。オレ自分でもわかってるわけよ、雨降ってるからお祭りには行けないって。だけど、どうしても行きたいのよ。雨降ってるお祭りの会場を一目見たかっただけ。そしたら親父が『おい、お祭り行くぞ』ってオレを自転車の後ろに乗せてさ。もちろんずぶ濡れさ。それでも自転車こいでお祭りの会場まで連れてってくれたんだ。ひどい雨だったから、出店もろくに出てない。親父、『ほら、店出てないだろ』ってオレに見せて、家に帰ったんだ。お袋はもちろんカンカンに怒ってたけどね。オレ、親父が雨の中自転車で連れてってくれたことがすごく嬉しかったんだ。今日のひびきは、あの時のオレだよ。ただじじちゃんに似顔絵を届けたかっただけなんだよ。かわいいじゃないか。」パパとふたりで、すやすや眠るひびちゃんの寝顔を見つめました。なんだか、この人と結婚して良かったな…子どもたちの父親がこの人で本当に幸せだな…と思いました。いつまでも子どもの理屈がわかる大人でいたい。パパのように。(私が描いたじじちゃんの似顔絵はこれです本当にそっくりです。)