虚栄心。

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Nice!

私が4歳の時です。母とデパートで何か買い物をした時、おまけで、「ぬいぐるみ」と「カバン」のどちらかを選んで貰えることになりました。店員さんに「どっちがいい?」と尋ねられ、私はしばらく考えて、カバンを選びました。そのときの心理状態を、今もはっきりと覚えています。私は、ぬいぐるみを持っている自分と、カバンを持っている自分を、頭の中で思い浮かべてみました。そして「どちらが賢そうに見えるか」というのを考え、「ぬいぐるみよりカバンのほうが賢そうに見える」と思ったので、カバンを選んだのです。カバンが欲しかったのではなく、「賢くみられる自分」を欲しいと思ったのです。私はこんなに幼い頃から、他人の評価を気にしていたのです。私はおとなしかったので、からかいの対象になりやすく、例えば近所の子供たちで鬼ごっこや、かくれんぼする時、毎回毎回、私は鬼しかやらせて貰えないのです。だけど反論できず。悔しくて泣きそうな顔になると、泣き顔をマネして笑われたり。遊んでいても損な役しか回ってこない自分、それに反論できない自分、笑われてバカにされている自分に、劣等感を抱えていました。「バカにするな」と心の中で腹を立てながらも、言い返すことが出来ない。おとなしいからバカにされるんだろうな、と気付いていたけど、言い返すことはどうしても出来なかったので、せめて見た目だけでも賢い子に見えるようにしたい。そうすればそのうちきっと、バカにされなくなるだろう・・と思っていたのです。私は幼い時から大人になるまで、強い劣等感と、それを隠すための虚栄心が、心の中に常にありました。