医療崩壊で救われること

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Nice!

どんよりと身体の芯に重い疲れがのこり、見るもの聞くものに妙に現実感がない。聞こえるが聴こえない感じ。昨日の帰宅後も、食卓で夕食を待っていて、娘が自室から降りてきて学校の友達のこととかなんやかや話してくれるのを、ふと気がつくと聞き流している。聴いてないってことがうっかりばれたら、それっきり嫁に行くまで話なんてしてくれなくなるんだろうと思うと、冷や汗が出る。宿題をしていた息子がふと顔を上げて、「機関車列伝」の録画ができていると言い、テレビをつけてくれる。消去できません、とか何とか言っていたところをみると、疲れた父になにか気を紛らすものを観させてやろうという気遣いではなく、たんにハードディスクを空けておきたいというだけのようだが、ぼんやり眺めるにはちょうどよい番組だったので、EF81とかDE10とかの解説を観ていた。娘も、テツな親子はしょうがないなと独り合点してくれた様子だった。以前、NHKのクローズアップ現代で医療崩壊の特集があったとき、ちょうど当直の夜に放映されたのを観て、翌日の帰宅後にどう思ったと妻に聞いてみた。妻は私以上にあちこちのサイトで医療崩壊について勉強しているので、さぞや深い話が聞けると思ったのだが、なにか複雑な顔をしている。なんだろうと思ったら、その番組を観ていた息子が一言、「僕もお医者さんになりたいんだ」と言った由。そう言えばこのところ学習百科事典の人体の巻を読んでいることがあったので、自閉症児とはいえ中学生だし色気も少々はつくのかなと思っていたのだが、本人は医学の勉強のつもりだったらしい。このときばかりは、医療が崩壊しかかっててかえって救われたような気分になった。