イカの哲学 (集英社新書 (0430)) (集英社新書 (0430))中沢 新一 / / 集英社スコア選択: ★★★ 書店で目を引かれて購入し一読した。 1950年年代に書かれたものとしては、イカの哲学なる論考の原文は読ませるものがある。しかし、もう時代に追い越された感は否めない。流行のエコロジーやらなにやら、いまどういう作文を書けば先生や世間の受けがいいかという風向きにちょっと敏感な高校生なら、これくらいのものは書くように思える。 はっきり言って陳腐なのだが、2008年の現在にこの文章が陳腐に感じられるのは、けっして著者の波多野一郎氏をくさすものではない。1950年代においてはこの論考は斬新なものだったのだろうと推察する。彼の思想を、その後になって、時代が追いかけ、追い越してしまったのだと思う。あまりにメインストリーム過ぎる思想であった故に、あまりに正鵠を射すぎてしまったために、今となっては陳腐に感じられるのだろうと思う。 中沢新一さんはずいぶん手放しでの推薦ぶりなのだが、オウム真理教に肯定的にコミットした識者の最右翼みたいな人なので、波多野さんも草葉の陰で困惑してるんじゃなかろうか。松本智津夫と同列あつかいかよ・・・とか。