高機能自閉症の特徴に、感覚の過敏性があります。私はポリエステル系の素材の服が嫌いです。あの「チクチク」が駄目です。「何故そんなものを気にするの?」という、本当に些細な事や、誰も気にしないような何気ないものも、過剰に感じ取ってしまいます。実はこれも、脳の機能障害が原因と言われています。パチンコ屋やゲーセンのような騒々しい所に行って、感度の調節が出来ない旧式のラジカセで、誰かとの会話を録音してみてください。その場では相手と会話を交す事が出来た筈です。しかし録音したテープを再生すると、周囲の雑音が大きすぎて、人の声は聞こえても、言葉を聞き分ける事は出来ないと思います。では何故、私達はあの騒音の中で、会話を交す事が出来るのか?現在の携帯電話やマイクは、最新の技術で余計な雑音をカットし、必要な音(声)だけを拾いとっているので、より雑音の少ない、クリアな会話が出来ます。同じ様に耳で聞きとった音は、脳の中で不要な音がカットされ、「声」から言葉を聞き分けて認識されます。目は光を情報に変えて脳に送ります。耳も音を情報に変えるだけ。肌も触感を情報に変えて脳に伝えるだけ。その情報は脳に届き、余計な情報をカットしてから認識されます。普通の人は、脳内でカットされた後の情報を認識し、余計な感覚は認識されないので気にならないのです。しかし脳に障害があると、その余計な情報をカットする作業が上手く機能しません。もし、身体の各器官から集まる様々な情報が、無修正で認識されるとしたら?もし、ゲーセン内で会話する時、周囲のゲーム音やGBM、他の人の声が、周囲の音が全て同じ強さで主張して聞こえてきたら?もし、手に張った絆創膏が、何時までも変らず、貼った瞬間の粘着感を主張し続けていたら?普通の人でも、会話を聞き漏らす事はあるでしょう。それは脳内の処理作業がたまたま上手く処理出来なかったからです。障害があると、脳内で不要な情報をカットする作業が上手く機能しません。全くではなく、出来ない場合が多いんです。度合いも様々。全てが同等に、ではなく、特定の情報だけがカット出来ない場合もあります。調子の良い日もあれば、悪い日もあります。障害のある人は、普通の人が無意識に脳内で行っている作業が上手く機能しない為、情報が脳に届く前にカットしようとします。町中や喫茶店で、突然「うるさい」と耳を塞ぐ人もいます。来ている服のタグを全て取り外す人もいます。脳内で処理出来ない以上、脳に届く情報を減らすしか対処法がないのです。...