お風呂からあがったのび太・・・
「お母さん〜見て見て!どう?カッコいいでしょ?」
そこには「キャップのつば」か「昔の駄菓子屋さんのひさし」みたいに
前髪がおでこに対して90度、上がっていた。
・・・・・。
「え?どうしたの?髪・・・」
「ドライヤーで、ボ〜〜〜ってやったの。
どう?いい感じでしょ?」
「・・・ん?え?まあ、カッコいいのかな?」
「こういうのがカッコいいんだよ〜!」
え?え?ついに のび太、色気づいたか?
(色気づく、なんて言葉がよぎるワタシはおばちゃんだな・・・)
思えば、幼稚園に上がる前まで、
のび太の髪は、私がお風呂場で切っていた。
床屋さんに行くなんて、絶対に無理だったのび太。
家で、どんなにゼスチャーを交えて、
「髪の毛、目にチクチクするから、お母さんが、
このハサミでパッチンパッチンして、
ガオレッド(当時の戦隊ヒーロー)みたいに
カッコよく切ってあげるよ〜」
なあんて言ったところで、のび太には伝わるはずもなく、
風呂場で異常なまでに泣き叫ぶのび太の髪を切っていた。
きっと、お隣さんは「虐○?」なんて思っていたかも・・・(汗)
幼稚園入園を明日に控え、
あの「まことちゃん」、もしくは「ちびまるこちゃん」みたいな
髪の毛ののび太に、
「お父さんも『床屋さん』っていうところで、
髪の毛、パッチンしてるんだよ。
Yくんも(お友達)床屋さんでパッチンしたんだって。
のび太も幼稚園だから、床屋さんでカッコよくしようか?
床屋さん、行く?」
と聞くと、
「床屋さん、行く!」
おおおおお!!!「行く」って言ったね?言ったよね?
じゃあ行こう!!!
今思えば、単なるオオム返しだったんだろうが、
近所の床屋さんへGO!!
もちろん、泣きました。はい。
号泣です。
でも、床屋さんもさすがです。
「おおお!鏡見てごらん。ほら〜かっこいいぞ〜!」
などと、おだてておだてて、切ってくださる・・・
バリカンは大号泣して拒否され、
ハサミで出来るサイコーに短い長さに切ってもらいました。
それ以来、6年間、ここの床屋さん以外には行けません。
行く度に、
「今日は、この前より長い時間、座ってたな〜」
「今日は、最後までちゃんと座っていたから、うまい棒2本あげる」
(子供には帰りに『うまい棒』をくれるのだ)
なんて、こんなに手のかかる子でも
ちゃんと「育てて」下さる床屋さんなのだ。
やっぱりのび太は周りの方に恵まれているなあ・・・
ほかの療育仲間の話を聞くと、
床屋さんでパニックになって叱られて・・・
なんて話、よく聞くもの。
そんなわけで、のび太は今でも、
「ハサミで出来る限界の短さにお願いします」
ということで、ボーズまではいかないスポーツ刈り?みたいな感じ。
しかし、のび太の同級生のちびっ子も、
ちょっとはかっこつけたくなるお年頃らしく、
同級生のYくんなんかは、前髪にこだわりだしているらしい。
床屋さんに行っても、「前髪はマユゲより上に切らないで!!!」
と、強く主張するようになったらしい。
しかし、のび太は
「洗って乾かすのが面倒だから、
うんと短い方がいい」
と、あくまでも手のかからないことを選ぶ・・・
まったく、しゃれっ気などなし・・・
ま、のび太はやっぱり幼いんだよね〜・・・
ところが・・・ドライヤーで前髪を上げて、本当は立たせたかったらしい。
ちょっとは、人目を気にするようになったのかな?
なんていったって、学校でののび太の席は、現在スペシャルシート!!
左隣に、幼稚園の頃から男の子に不動の1番人気のRちゃん。
右隣に、同じく2番人気のKちゃん。
「ねえ、のび太の席ってほかの男子に『いいなあ〜』って
言われるでしょ?
RちゃんとKちゃんにはさまれて、いいよね〜」
「ん?いいけど、別に・・・それほどでも・・・」
なあ〜んて言ってたけど・・・ウシシシシ・・・
とうとう、髪の毛を気にするようになったかあ・・・のび太・・・
ちなみに・・・夕べのお風呂上り・・・
「あれ?今日は前髪、ドライヤーでしなかったの?」
「うん。だって、明日は学校、休みだから」
ウシシシシシ・・・
休みだと見せる人もいないしね〜ってことかな?
のび太も・・・♪オトナの階段のぼるぅ〜♪
口づさめる方は、私と同年代???かも・・・