アスペルガー児の療育について考える(7)

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Nice!

  <アスペルガー児の療育について考える シリーズ>
  前回までの記事はこちら
  第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回

夕方、眼鏡が壊れた。眼鏡屋に行ったら乱視の度が進んでいてレンズが特注で一週間かかると…。眼鏡なしに耐えきれず壊れたフレームをガムテープで緊急補修してアップ作業。
はっきり言って情けない姿だ。

<アスペルガー児の学習について>

さて、アスペ児の学習について考えてみる。

療育というとどうしてもコミュニケーション面がクローズアップされてしまうが、生きて稼いでいくための基礎を作るということを考えると、教科学習というのは実は療育の上で外せない項目のはずである。

にもかかわらず、これに触れたものは多くない。
ではそんなに考える必要のないことなのかというとそうではないだろう。

さて、小学校教育に注目してみると、現状の教科書はどの教科も理屈屋のアスペルガー児にとってはもの足りないことこの上ない。

…というのは、今の教科書は授業での参加型学習を前提に作られているのである。

端的にいってしまえば学習のとっかかりが書いてあるに過ぎず、授業に「参加」しなければ結論がなかなか見えない形になっているのだ。もっといってしまえば、教科書を読んで自学することができない教科書なのだ。

それで教科書といえるのかということはさておいて、このことはアスペルガー児にとってはかなり厳しいものがある。

注意集中などの力の関係で集団授業に参加すること自体が困難を伴う上、教科書もアスペルガー向きでないとなると、学習に困難が伴うという現象が起こりうる可能性は十分にある。

教科書が今のようになったのは、ゆとり路線以降であるが、昔より今の方がアスペルガー児にとっては教科学習に困難を伴いやすくなっているというのは事実だろう。

定型発達児にとっては参加型の授業も悪くないのかもしれないが、アスペ児の立場から見れば全く逆の構図が見えてくる。

「興味関心の名の下に見通しのつきにくい授業に参加させられ」
「考えることが重要とばかりに結論を委ねられ」
「なんの意味があるかわからないグループ学習をさせられ」
「教科書を熟読しても何をどう学習してよいのかわかりにくい」

ということになる。
はっきり言って最低!である。

アスペルガー児にとって苦手なことの連続である。これで学校の学習が楽しくなるはずもないだろう。

実際、小学校のうちは、何度もこういったことから息子の学習がずっこけそうになり要所要所で私がフォローを入れている。私に塾講師や家庭教師の経験があったからできたようなものの、これが普通の親だったらフォローできるかというと難しいだろう。

「教科書をしっかり読んで勉強しなさい」というセリフが成立しないご時世なのである。

さらに悪いのが「総合学習」という奴だ。
これはまさにアスペルガーの敵とも言える教科だろう。

「グループで何をテーマにするか話し合い」
「話し合って分担して調べ物などをして」
「これまたグループで話し合って発表方法などを決め」
「みんなでだした結論を発表しあう」

というステップである。

定型の子にとってはそれなりに、ワイワイやれて楽しく、やりがいがある教科かもしれないし、コミュニケーション能力を伸ばすのに適当なものなのかもしれないが、アスペルガー児にとってはハードルが高い。

アスペルガーの子にとって好みのテーマであればまだいいが、そうでなければなんの意義も見いだせず、全く楽しめない授業である。

実際、うちの息子などは総合学習が大嫌いである。

曰く
「なんで総合学習なんてあるのかわからない、めんどくさいだけ」
だそうだ(小学生当時の発言)

まとめてみると、

・集団授業への適応の問題

・昨今の授業スタイルの問題

・昨今の教科書の問題

・総合学習という教科の問題

などの関係で、アスペルガー児の場合では各教科学習が好きな子であっても、学校の授業は好きではなく、ついて行きにくいという現象が起こりうるのだ。そしてその確率は高いであろうと思われる。

(当然、評価にも影響する。だが、小学校の間は(テストの点はまあいいが)学校での「評価」をあげようと躍起になることは避けた方が賢明だろう。なにせ、「興味・関心」なんてものが評価対象になっているのだ。もともと興味関心の幅の狭いアスペ児にとってはこれをまんべんなくクリアすることなどできようはずもない。)

さて、対策としては、学校側に個別対応を求めたり、必要な加配を要請することが必要になってくる。また、場合によっては塾や家庭教師の利用というのも1つの手段となりうるだろう。

(はっきり言って、塾の方が、算数・国語・理科・社会などの教科学習ということに関しては構造化された授業を提供してくれる)

結論をいえば、

学習関連の療育環境を親の側から積極的に確保していく必要がある。

ということである。

さて、次回は思春期から青年期にかけての療育について考えてみよう。

<つづく>


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