アスペルガー児の療育について考える
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第1回 第2回 第3回
さて、反響がないのを多少気にしつつも、しつこくしつこく話はつづく。
<幼児期の療育の必要性を考える その3>
前回で話を幼児期の療育に絞ったが、さらに親が定型発達の場合に絞って考えることにする。
ミチャポンのアスペルガー疑惑その2でさんざん心理士に「冷静ですね〜」と言われた話を書いたが、そのことはとりもなおさず、定型発達の親御さんにとっては、子供がアスペルガー症候群であるということは「冷静ではいられないこと」であるということを示している。
子供の態度に困り果て、悩んでいる親御さんは多い。
「なぜ他の子と同じにできないの」
「パニックにどうしていいかわからない」
「不適切な行動をどうなおせばいいのかわからない」
等々。
さて、こういったケースの場合、アスペルガー児の側から見れば
どうなるだろう。
『わけのわからない状況におかれることが多く』
『頼りにすべき人はおらず』
『情緒的に安定できない』
等々というような状況ではないだろうか?
これは親、子、双方にとって、好ましからざる状況なのは間違いない。
こうした事態を改善するのが療育なわけだが、週1回や2回の短時間の療育だけでこれを改善するのは至難の技である。
子供が生活する場は家庭である。
いかに家庭生活を改善するのかが問題となる。
すなわち、いかに家庭で療育をするのかというのが一番問題なのである。。
では週1回〜2回のプログラムというものがまるで価値がないのだろうか?
否であると私は考える。
定型発達の親御さんにとっては「構造化」自体が自然なことではない。認知・行動学的な手法も特に学ばなければ知らないのが当たり前だ。
なんらかの機関での療育を受けることにより、親の側の意識を高め、療育に関する知識を増やすことは即ち家庭での療育に直結するだろう。
さらに、幼児期、療育に通うと言うことは、親御さん同士のネットワークを作ることになる。療育仲間とでも言ったらいいのだろうか、そういった仲間がいて、いろいろ障害について話し合うことができることは定型の親御さんの精神の安定に繋がり、ひいては子供の環境にも好影響を及ぼすだろう。また、親御さんが子供の障害を受容していくうえでもそういった仲間がいることは大きな助けになるだろう。
こういったことを考えていくとたとえ回数の少ない療育であっても、利用できるものは利用していった方がいいのではないかと思うわけだ。
だが現状、きわめて枠が限られていて、希望すれば全ての子が療育を受けられるわけではない。地域にもよるが、診断すらままならない環境に置かれている場合も少なくないはずだ。
これから、そういったことが改善されることを願ってやまない。
…と、これで終わりじゃないですよ。
次は母子アスペのケースについて考えてみようっと。