上司=社長に辞意を伝えた。
唐突な決断のように見えるかも知れないが、アスペルガー症候群である故に今まで気づけなかった自分の現状に、ようやく気づいただけだ。
12月末まで働くことになったが、口頭の約束なので、ちゃんと辞められるか、いまいち不安だ。
あと4ヶ月が長いが、やっている間はしっかり続けさせていただく心づもりだ。
その間、いつ切られてもいいという心構えでいようと思う。
社長は自分に都合の悪い人間は、さっさと切る人間なので、もう何も求めない。
最悪、給料が出ないことも覚悟しようと思う(まあさすがにそれはないと思うけど)。
ちなみに今の会社は社長=翻訳家の下、部下=翻訳アシスタントが3人のみという、非常にコンパクトな構成である。
私は翻訳アシスタントとして働いている。
上司の権力を思えば、被雇用者として何も言えないのは、分かっていただけるかと思う。
案の定引き留め作戦に出てきたが、引き留め方が有り得ない。
「辞めさせて頂きたいと思います」
と言ったら、根ほり葉ほり理由を聞かれて、
「体力が持たないからです」
(辞める立場の人間が、正直に職場の文句を言うよりはよいだろうと思って言った理由である。本当はうつのせいではない。上司の性格と会社の体質に愛想が尽きただけだ)
と言ったら、
「仕事を週三回に減らせば辞めないのか」
(そういう問題ではない。少ない給料とパートという身分で部下のやる気を最大限引き出せると思っている上司の性格と会社の体質が嫌なのだ。上司は他のアシスタントについての文句を日頃から私に言っていたので、本心は見え見えなのだ。他の人には週三日でいいと甘いことを言いつつ、私には「残業をやらなかったり出勤日数が少ない人から切っていくのは当然だよね」と言うような人なので、同じ事を繰り返すことくらい私にも分かる)
とか
「初めからうつのことを言えばよかったのに」
(初めはうつは治っていた。うつの病歴を面接で言う必要なんて、私の立場ではどこにもない。そんなことをしたらどこも雇ってくれない。それに今までの面接経験上、本当に見る目がある面接官のいるところなら、わざわざ言わずとも私がストレスに対して打たれ弱いことまで見抜いて、そもそも雇用されなかった……)
とか
「貴方は辞められた後の人のことを考えていない」
(上司は私に、パートという立場と安い時給という見返りしか返す気持ちがないのに、私の思いやりの精神に期待するのは間違っている。そんなのはパートが考えることではない。だいたい他の人のことを考えていなかったら、明日から仕事に出て来ないという選択肢を選んだと思う。あと4ヶ月も働くと言っているのだから、引き継ぎには十分な時間だと思うのだ)
「貴方は女王様体質だ」
(社長は他のアシスタントが休日出勤しなかったとき、その人に対しても「我儘な女王様」と言っていた。要するに、都合の悪いことは何もかも他人のせいにして、自分が悪いとはつゆほども思わない人なのだろう)
とか
「やる気のある人なら、翻訳文の半分くらいは入力してくれる」
(私の仕事はアシスタントだし、時給1000円そこそこで、そこまで求められても困る)
とか、
「昔は朝8:00〜夜10:00まで毎日働いている人がいた」
(だから何?)
とか、段々訳が分からないことを言われはじめて、何だかなと思った。
前の職場の給料についても聞かれて、何でそんなこと言わないといけないのだと思いつつ、
「1800円でした」
と言ったら、
「まあ派遣だし」
とあっさり言われた。
派遣ですら、それくらいの金額を出すのだとは、思わないのだろうか。
そもそも前の派遣という身分と、今のパートという身分は、私の中では大した違いはないように思うのだが、社長にとってはそうではないようだ。
あまりにもしつこいので、
「知っての通り、私には障害があるので、察することを求められても困ります」
(社長は翻訳のスケジュール管理が滅茶苦茶なのである。平気で締め切りを破ることを指摘したら、「締め切りなんて問題じゃない」と言われた。部下に「今日までどうしても仕上げないといけないから、休日だけど出てきて」と言って出させておきながら、「やっぱり明日でいいや」というのを繰り返すのだ。それでいて「本当の締め切り」なるものが社長の中にはあるらしく、「本当の締め切り」を察しないと、アシスタントとしてなっていないと言い切るのだ。アスペルガー症候群ならずとも、そんなの分かれという方が無茶である)
と言ったら、
「貴方が障害だなんていうのは、貴方と医師だけが言っていることだ」
(!!)
と言われた。
最後は、
「貴方の言っていることは理解しがたい」
と言われた。
それは理解できないだろう。
本当のことを伝えても、社長は何も変わらないだろうということが分かっているのだから、こちらとしては何も言う気はない。
最後4ヶ月、最善を尽くすだけだ。
今まで、置かれた現状に最大限順応しようと、前向きに仕事に取り組んできたつもりだけど、もう限界である。
これは私がアスペルガー症候群故に、仕事が続かなかったという問題ではないと思う。
翻訳に対するよほどの熱意がない限り、無理だろう。
まともな人ほど、今の職場に長居はしないだろうと思う。
一通り書いたら、すっきりした。
もう今の仕事に未練はない。
追記:
時給1800円というのは、誇張しすぎだった。
いくらもらっていたかとか、ちゃんと把握していなかった。