ポーラ、リチャード夫妻は今年もニュージャージーのビーチ・ハウスに招待してくれて、車で2時間ほどの距離にあるビーチでリゾート気分を味わいに行った。
残念ながら週末は雨続きでビーチはとても楽しめる状態では無かったのだが、ベンはどちらにしろ海には入らないし、弟の方も天気は問題にせず逆に悪天候の高波を楽しんでいた。
とはいえベンにとってはコンピューターの無い一泊旅行で、持て余してしまうことを心配してしまうのだが、そこは不思議な適応性があり、潔く諦めてくれるのだ。
代わりにDVDのプレーヤーを持って行ったのだが、それにすがることもなく割と普通にバケーション的な行程を楽しんでくれた。
もちろんお約束の海辺遊園地では大興奮だったが、これも雨で半分が閉じた状態。ゲーム・センターなどの室内で楽しむものだけが営業している。遊園地の乗り物が大嫌いなベンにとって、良い事だと思いきや「Oh No, It's closed !」と嘆いている。どうやら、見るのは好きだったようだ。
確かに遊園地の乗り物は乗ってしまうより、見ているだけの方が楽しそうで、きらきらと奇麗でもある。
家に戻ってワインを飲みながら、ベンにジョークを飛ばすと最近するようになった面白い反応をする(わざとらしくA ha ha ha と笑い「Daddy , That's joke」と言う)。これは冗談を理解して言い返すところまでが非常に普通なコミュニケーションだ。
翌日も悪天候は続き、寒く、雨足も強くてとてもビーチに行く状態では無い。機転の利くポーラは、車で1時間程のところにある観光ポイントに行く事を提案してくれた。
アトランティック・シテイにある巨大なゾウ「ルーシ」は1800年代に不動産王が地域の復興を狙って建てたものだそうだ。歴史的建造物に指定されているのだが、なにぶん古いものなのでこれといった仕掛けは無い。
ゾウの中に入るツアーいうことで、期待しながら足についているドアかららせん状の階段を登ると、そこには大きな家のリビングルーム程のスペースがあり、このゾウに関する歴史ビデオを見る。終わるとゾウの目の部分が窓になっていてそこから交代で海を見た。 それだけだった。
昔、伊豆方面に旅行すると沿道に必ずあったのが秘宝館。子供心に何か不思議な存在だったのだが、少々エロなものだったようで大人になってから入館してみた思い出が蘇る。
どちらも要するにポイントは客寄せのためのものだったわけで、何故ゾウなのかは良くわからないのであったが、僕はベンを連れてこの場所に行ったことを一生忘れないだろう。
悪天候の中、まる2日の行程に付いて来れる様になったベン。本屋やショッピング・モールに行きたいと口走るものの、気付けば随分と自身のコントロールが出来る様になったものだ。
公園中をあちこち走り回る5才のベンを見て、将来この子をどこか旅行に連れてゆくことはできるのだろうかと思った。
ルーシを見に行けた事を、本当に感謝したい。