私の伯母から聞いた話です。
伯母はアスペに関するHPなどを見て、「自分の息子もアスペかも?」と思い当たるフシがある、と言うのです。
伯母の息子、つまり私のイトコにあたる男性です。(以前書いた自閉症のイトコとは別の人物です。)
彼は子供の時から成績優秀、大学を首席で卒業後、大学での研究を活かせる職に就き、現在に至っています。
何の問題も無い順風満帆な人生にも見えるのですが、彼が小学校の頃、伯母は担任の先生に注意されて悩んでいたことがあったと言うのです。
先生は「これ以上、本を読ませないで下さい」とか「勉強をさせないで下さい」と言ったのだと。
なんと、優秀過ぎることに対して注意されていたのです。
彼は幼少の頃から難しい事を1人でどんどん覚えるような賢い子だったのです。
しかし1人だけ突出して優秀だった為、他の生徒とのバランスが取れず、先生としては、このような優秀すぎる子の扱いに困っていたということなのです。
しかし伯母としては、親が強制的に教えたわけでもなく、本人が自発的に勉強しているのだから、それを止めさせることはできなかったのです。
このようなことが原因で、クラスの中で少し浮いた存在で、友達も多くは無かったそうです。
確かに「アスペ傾向」はあるかもしれませんが、「障害」では無いと私は思います。
彼は自分の長所と短所を上手に利用して前向きに生きているのです。
もちろん彼なりの苦悩を抱えているのかもしれませんが、少なくとも、彼が不登校を経験したり、精神的に病んだり、仕事や対人関係で失敗したという話は、聞いたことがありません。
彼は文系も理系も得意でしたが、理系の大学を選びました。
理系は1人で黙々と研究できるから、だそうです。
私は見栄やプライドだけで進路を選んできて、それが生きにくさを増大させる結果となりました。
しかし彼は、自分の得意分野を活かせ、尚且つ、周りを気にせずに好きなことに没頭できる環境を上手に選んだのです。
幼少の頃から難しい事を覚えるのが得意だった点は、私と彼は似ています。
私と違う点は、私が周りの目を気にし過ぎて失敗したのに対し、彼は「友達が少なくてもそれはそれで良い。周りにどう思われてもいい。好きなことに没頭できる環境があればよい」という考え方だったことです。
「友達をたくさん作れ」「協調性が大切」と言われる風潮の中、彼のような一匹狼は批判されるかもしれませんが、それが生きにくさを軽減させる方法の一つならば、このような生き方も悪くは無いと思います。
私の息子もまた、彼の幼少時代によく似ています。
親としては、なるべく多くの友達を作ってあげたい。
けれど、「友達は多いほど素晴らしい」という固定観念に捕らわれ、結果としてそれが息子に生きにくさを与えてしまうならば、「友達の少ない事は、けっして悪い事ではない」という新しい考え方を持つ必要もあるかもしれません。