もやしもん―TALES OF AGRICULTURE (1) (イブニングKC (106))
石川 雅之 / / 講談社
ISBN : 4063521060
妻が買ってきたので面白く読んだ。
学内自治寮にすむ2回生が研究室に入り浸るシーンがあって羨ましかった。医学部ではこれは困難だよなあと思った。使われてない教室に勝手に入り込んで酒を醸造してましたみたいな出発点から研究室に入り込むってのはねえ。ひたすら講堂に座ってノートをとってポリクリに回っての受動的な日々だった。ときに研究室をのぞきに行くこともあったけど、ここまで濃密に入り込んではいなかった。
百姓仕事が好きでたまらず農学部に行くとか、機械が好きでたまらず工学部に行くとか、好きが昂じて専門に勉強するというのはどの学部でもあるんだろう。とくに文学部なんて、文学なんか知らんぞと言う人間は決して行かないだろう。それなりの素養があってみんなその学部を選ぶんだろうけれども、医学部だけは、俺は医者仕事が好きで好きで医学部に来ましたなんて人は原則あり得ない。そんな人は医師法違反だから医師免許が取れない。
法的な処罰を受けてなかったらOKなのかな。
医学部に入ったときに何で医者になろうと思ったかとさんざん問われたんだけれども、なるほど他の学部の奴らはそこに居ること自体が理由の主張になってたのかと今さら知った。仕事の内実を知らないまま、全く潰しの利かないタコツボ学部に乗り込んできて賢しらな顔をしている新入生なんだから、確かにそう聞いてみたくもなるよなと思った。
俺が学生時代には学部の勉強を熱心にやることがこれほど輝いて見えて漫画のネタにまでなるなんてことはなかったなあとも思った。ある意味、今のほうがよほど真っ当な時代だと思う。
もういっぺん大学行きたいなあと思った。