ネットで物件を探し、ちょっとでも興味のある物件を見かけたら扱っている不動産店に連絡して見せてもらい、また、駅前の大手系の不動産店に飛び込みで入って希望を伝えて条件にある物件を見せてもらったりしているなかで、希望に近い物件というのは実はほとんどない、ということが分かってきました。そのことは、物件を見せてもらった不動産店の営業の方にも話していたのですが、あるとき、営業の方から言われたことが、「だったら土地から探して注文で建てたほうがいいんじゃないですか?」という話でした。私としては、当然に「いやー、もちろんそうできればそうしたいんですが、注文住宅となると高いですし、ぜったい予算オーバーですよねー」みたいな感じで返したわけですが、そこで向こうから言われたことは、「いや、建ててもらう相手を上手く選べば、建売りから予算を少し増やすだけで、十分注文住宅を建てることもできますよ」というお話でした。そして、実際に見せてもらったのが、土地として売りに出ている物件に、「参考プラン」として作られていた注文住宅の見積もりでした。…え?こんな値段で建てられるの?そこに書かれていた金額は、単に建物の建築価格だけでなく、インフラの引込み費用や外構工事(建物以外の、駐車場の舗装やブロックフェンスや機能門柱の設置などの工事)の費用も概算で加算された、いわゆる「総額見積もり」になっており、その金額は意外なほどリーズナブルでした。土地の値段と合算した全体の費用としても、私が建売住宅を買うつもりで想定していた予算の枠内(かなり上限に近いほうでしたが)に収まるレベルだったのです。「こんな安い値段で注文住宅を建てられるのは、いったいどういう業者なんですか?」という質問に対して返ってきたのは、私もよく知っている業者でした。それは、建売住宅をたくさん建てている、いわゆる「パワービルダー」と呼ばれる業者による見積もりだったのです。建売と同じような部材を使って、建売と同等の(つまり、有名ハウスメーカーほど立派なものではないけれど、建売と同等水準はクリアした必要十分な水準の)クオリティの注文住宅を、建売の建築価格プラスアルファの値段で建てる、建売系のパワービルダーに注文住宅を依頼すると、そういうスタイルで家を建ててくれる、そういう選択肢があるということを、このとき初めて知りました。注文住宅といえばテレビで宣伝して豪華なモデルハウスを建てているようなハウスメーカーにお願いするイメージしかなかった私にとって、それは大きな驚きでした。そしてこの日から、我が家にとって「注文住宅で家を建てる」という選択肢が、にわかに現実味を帯びてきたのです。