自閉症の子どもと暮らす家づくり(8)

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Nice!

「長女の高校通学問題」を解決するための8つのアイデア、1)現状維持2)学区の高校の近くに家を借りる(家族全員)3)学区の高校の近くに家を借りる(母子のみ)4)隣の市区に家を借りる(家族全員)5)隣の市区に家を借りる(母子のみ)6)郊外に家を借りる(家族全員)7)郊外に家を借りる(母子のみ)8)自宅を売却して郊外に転居の検討のプロセスについて書いています。主な評価基準は以下のものです。①コスト②通学の利便性③卒業後の進路④次女の幼稚園⑤家族のつながりとバックアップ体制⑥妻の実家からのサポートの受けやすさ⑦住居の防音性能⑧その他2)から5)まで、どれもコストの割にメリットが小さく、納得して選択するのは難しいということが分かってきました。残るは6)7)8)です。6)7)8)は、現住所よりも郊外に出るプランになります。そして、その郊外の学区の特別支援学校とは、もともと小学校低学年のころから越境入学するつもりだった学校になります。したがって、現住所よりも都心に向かうプランである2)から5)と比較すると、コスト面では負担が軽くなりますし、電車を利用するのもラッシュとは反対方向になるため十分に現実的です。さらに、郊外に住む妻の実家の両親にとっては現在よりも来るのが近くなり、次女の幼稚園の問題も生じないため、他の案に比べるとメリットが大きいのは一目瞭然でした。一方、私の通勤時間が長くなることや、行政サービスが若干低下するなどのデメリットがありますが、これらは「そこに住めば当たり前のこと」でもあるので、妥協は十分に可能な範囲だと思われます。ただ、この3つの選択肢のうち、6)7)の選択肢においては、「③卒業後の進路」という問題が残ってしまいます。郊外に引っ越して、郊外の学校に通って卒業した後、いきなり現住所に戻ってきても、いったん周囲とのつながりが「切れて」しまった現住所で、改めて長女の卒業後の進路を見つけるのは簡単なことではないように思われます。そして、もっと率直にいえば、いったん家族が郊外に出てそこで生活を始めるのであれば、卒業後に現住所に戻ってくる必然性があまりない、ということもありました。2)3)4)5)については、「一時的な」引越し先が現在以上に都心になるため、そちらに娘の卒業後も住み続けるというのは住環境と住宅コストの観点から考えにくかったのですが(上記⑦の住宅の防音の問題もあり、基本的に戸建て志向でもあるため)、引越し先が郊外で、いったん生活の拠点をそちらに移してしまうのであれば、いっそのこと現在の家を売却して、そちらにずっと住んでしまうほうが、さまざまな意味で合理的であるように思われます。実際、「本来の用途で利用されない不動産を所有している」ことは、極めて非効率的でムダな資産運用であることは間違いありませんから。もちろん、8)の選択肢は、他のどの選択肢よりも高額の費用がかかります。でも、2)から7)までの選択肢が、せっかくの持ち家の利用を一時的に不全な状態にしたうえで、消えてしまうコストを賃貸住宅に大量投下するものであるのに対して、8)の場合、かかるコストは住宅という資産への投資という側面をもっており、また低金利の住宅ローンも活用できることなどもあって、「将来に残らない実質的なコストの費消がどの程度あるか」という視点で見ると、動くお金の大きさと比べ、実はそれほど「損失」が出るわけではない、と考えることもできます。私は、上京してから、結果的に不動産の売買を何度も経験するハメになりました(実はどれも計画的なものではないのですが、これについては改めて書きたいと思います)が、そこで分かったことは、不動産というのは上手く売買すると意外とコストがムダにならない資産であり買い物だ、ということです。今回も、現在の住居を売却して得られた売却資金を「頭金」として郊外に新しい家を買うのであれば、資金計画的には十分に現実的な範囲に収まります。そして、この8)の案にはさらに別のメリットもありました