想像力の障害。

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Nice!

想像力の障害というのは、どういうことなのだろう。アスペルガーの想像力についてよく言われるのは、「相手の気持ちを思いやることができない」とか、「相手の立場で考える力が欠如している」とか・・・。でも、私も息子も、相手の気持ちを思いやったり、相手の立場を考えようとすることは、普段よくあることなのです。だから、まるでアスペルガーの人には心が無いとされているような言われ方には、納得できないところがあります。ずっと前ですが、こんなことがありました。息子と一緒にショッピングモールに行ったとき、途中で疲れたのでフードコートの椅子に座りました。私達の前には、ドーナツ屋・定食屋・クレープ屋の順に、3軒並んでいました。ドーナツ屋とクレープ屋は客がたくさん並んでいたけど、真ん中の定食屋だけ1人も並んでいませんでした。その様子を見て、突然息子が涙を流しました。その理由が私にはすぐに分かりました。私も涙が出そうになっていました。1人も並んでいない定食屋の店員さんが可哀そうだったからです。両隣のお店は行列ができるくらい人気なのに、この店だけ誰も来ないなんて、店員さんは傷ついているだろうな・・・と思ったんです。そして息子は「僕たちがあの店で注文しようよ」と言いました。私もそうしたかったけど、しかし既に昼食を済ませていたので出来ませんでした。しばらくして気づいたのですが、そのときの時間は15時台。よく考えてみると、この時間帯にドーナツ屋とクレープ屋が混んでいて、定食屋に客がいないのは、当然のことだったのです。息子に「きっとお昼の時間ならいっぱい来てると思うよ」と説明して、息子も一応納得しました。でも「やっぱり気になる」と息子が言うし、私も気になっていたので、後日、お昼の時間に行ってみました。すると定食屋さんにたくさんお客さんが来ていました。その様子をしっかりと確認して、やっと安心できました。これは一例であって、これに似たような出来事が私達親子には本当によくあるんです。だから私達は「相手の気持ちを思いやることができない」というのは、やっぱりなんか違うと思っちゃいます。でも、この例で言えば、定食屋に客が来る時間帯では無いということに、なかなか気づけなかったこと。気づいた後も、実際にその様子を見るまで安心できなかったこと。こういうところが、「想像力の障害」ということになるのでしょうか。普通の(定形の)人なら、「この時間に客がいないのは当然」ってすぐに気付くだろうし、そもそも、自分となんの関係もない店の客数なんて、全く気にならないかもしれない。気になるポイントがズレているってところも、障害ゆえの症状なのかな。