のび太の検査結果を聞きに一人で児童精神科に出向いたある日、私は、検査結果を聞いたあと、のび太の子育ての不安を早口で饒舌に大声で喋りだしたらしい。(後から、主治医にこのときのことを、そう言われた。 自分では記憶にないのだ)「自分が、自分の母親と同じようにのび太に 接してしまうのが恐ろしい。 ふとした時に、自分がされて嫌だったこと、 言われて傷ついたことなどを、平気でしてしまう。 自分は意思を持って生きることを否定されて育てられた。 それと同じことをしてしまうかもしれない。 私にのび太は育てられない。」と、言うようなことを話した(のは何となく覚えている)おそらく、そのときの私の行動、言動は異常だったのだろう。「○月○日○時、予約を入れてあげるから、 その時に、もっと詳しく話して欲しい」と、のび太の主治医は私の診断の予約を入れた。今思えば、のび太の主治医はあくまでも児童精神科医で、予約待ち半年で県内外から受診者が来る、多忙な医者だ。それなのに、2週間後の午後の1時間を取ってくださったのはきっと、それほど私にただならぬ「何か」を感じたのだろう。そして、私は①~④で書いたようなことを話した。時には号泣しながら、時には怒りに震えながら。そして、一通り、話し終えると、主治医は静かに言った。「今まで、よく耐えてきましたね。 あなたは、何も間違っていませんよ。 これまでも、そして、 これからも、あなたに間違いはないはずです。」私は、初めて他人に自分の生き方を認めてもらった。今まで旦那だけが唯一、私を認めてくれる人だったが、否定され続けた過去を、そして、不安で踏み出せないでいた見えないはずの未来も丸ごと認めてもらって、私は、再び号泣した。