薬師寺の坊さん

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Nice!

仏教発見!西山 厚 / / 講談社ISBN : 4061497553高校の修学旅行で京都や奈良を回った。ちょうど古都税を巡る拝観停止の折で、来てはみたが京都の古刹はどこもかしこも門を閉ざしていた。それはそれでそうそう見れる物ではない、面白い光景ではあった。古刹ったって胡散臭いものだという、ガキが大人の底の浅さを見つけてほくそ笑むような気分だった。一方で3年は受験が忙しいからと2年の8月に修学旅行を片づけてしまう自分たちの胡散臭さもなんとなく感じてはいた。いずれにせよあんまり麗しくないお話ではある。奈良の薬師寺境内でお坊さんの説法を聞いてたいへん面白かった。面白くはあったが、子供心にも、田舎出のこどもたちの相手など、薬師寺のような古刹にあってはメインストリーム的な活動じゃなかろうと思っていた。奇特で個性的で反主流派な坊さんが居るのだろうと思っていた。それが本書で高田好胤師の逸話を読んで、修学旅行生に力のこもった講話をするのは薬師寺の伝統なのだと知った。私らが拝観したのは高田好胤師が直接に修学旅行生の相手をしていた時代ではないが、それでもなお、仏教寺院への幻滅を一掃するだけの力強い講話が続けられていたわけだ。20年来の誤解が解けた。案外と修学旅行で薬師寺の面白い坊さんに会うというのは日本全国にあまねく共有された体験なんじゃないかと思う。というのは「究極超人あ~る」にも「薬師寺の坊さん、おもしろかったなー」という台詞がたしか出てくるからだ。ちなみにR・田中一郎と私はたぶん同年だと思う。ともに高校の卒業時に国鉄が民営化されている。『究極超人あ~る』元ネタ・リストには薬師寺云々は載ってないが、この元ネタリストを作った人は修学旅行で薬師寺には行っていないのだろう。大きなお世話だけど。すんません。この元ネタリストで「どうやらメカ成原の脅威は去ったようだよ」という台詞も扱われている。オリジナルの情報を求められているが、私見ではオリジナルはおそらく映画「ゴジラvsビオランテ」じゃないかと思うんですが。沢口靖子の細胞をいじって怪獣を作っちゃった話ってビオランテでしたよね。その博士が物語の終盤で「諸君おめでとう、ビオランテの脅威は去ったようだよ」と平然と言っていたように記憶しています。周囲の登場人物は納得したのか聞き流したのかなにも反論しないんだけど、観ていた私としては「誰のせいでこの大騒ぎになったと思ってるんだ」と呆れた記憶があります。これだけ詳細な元ネタリストを作った人が言及してないんだから私の記憶違いかもしれんという気もして不安だけど。でも今さらツタヤにDVD借りに行くほどのことかとも思うし・・・情報求む。「究極超人あ~る」では「どうやらメカ成原の脅威は去ったようだよ」と言った成原博士は周囲にいた面々に袋叩きに撲られていたので、観客としてあの映画を観て同じツッコミを入れた人も多かったんじゃないかと思いました。補足:いったん本稿を公開した後でwikipediaをみると、究極超人あ~るの連載期間が1985年から87年、ゴジラvsビオランテの公開が1989年だから、ちょっと時代が合わないかなとも思う。あ~るは大学時代にバイト先の本屋でまとめ買いして読んだし、ゴジラvsビオランテも封切りなんて観にいくお金があったわけもなくたぶん祇園会館かテレビかで観てるはずだし、いずれもリアルタイムで観てないんでと言い訳してみます。あ~るを読んでこれはビオランテだと思った記憶がたしかにあるんですがね。やっぱり違うのかな。