オーディションがはじまって、私はすっかり頭をかかえてしまいました。誰がよくて誰がよくないのか、さっぱりわからないのです。正直言って、みんな同じに見えてしまうのです。カッコいい男の子はだれか。それはわかります。ただ、淳一に相応しいか否かがどうしてもわからない。いちおう脚本のなかから抜き出した部分の自閉症の役を演じて貰うのですが、そもそも自閉がわかっている役者さんなんてほとんどいない、というのが現実でした。みんなそれなりに考えて、私の小説をきっちり読んできている人も多くて、頑張って自閉の演技はしてくれているのです。でもそれは、私から見れば全然自閉じゃないわけで。。。でも、その中で、たった一人だけ、私を魅了した青年がいました。見ていれば見ているほど、彼は本当に自閉なんじゃないかって思えるほどで、それがおかしくって、嬉しくって。。。最終的には、スタッフ全員一致で、一人の青年に決定しました。それが今回の主人公の伊藤祐貴クンです。あとで、大勢の私の知り合いに言われました。「よくヒロキ君にそっくりな青年を見つけたね」と。私は、ヒロキに似ているかどうかなんて、全然意識していませんでした。一番きっちりした自閉の演技を見せてくれた青年が、偶然ヒロキにそっくりだっただけなのです。そっか、ヒロキが連れて来てくれたんだな……って、私はすぐ納得してしまいました。(^^;
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