ついにやって来る大統領選の投票日。何度か経験したうちで最も面白い選挙戦は、あっという間に結果を見る日を迎えた。候補擁立の時点から話題満載の民主党に比べ、話題性に欠ける共和党だったが、女性副大統領の起用で大きな巻き返しをはかるも、どうやら内容が追いつかなかった感がある。ベンの学校でも、社会学習のプロジェクトとして模擬大統領選をしていて、候補者の名前はもちろん、政策を箇条書きにして投票ブースまで作る念の入れよう。結果はオバマ氏の民主党が圧勝していたのだが、実際の予想結果もそれに近い比率になっている。学校での模擬投票の結果は親の意見を反映して実際の選挙予想を的確に表しているというデータがあるそうだが、特別学級のそれは他人の意見に左右されないさらに直感的な結果として興味深いものがある。オバマ氏は数えきれない程の雑誌の表紙を飾り、プライムタイムのコマーシャルまで放映。対するマケイン陣営も必死に応戦するが、どちらにしても選挙への関心はいやおうなしに高まって来た。ある友人は週末を使ってオバマ氏の決起集会に行き、ブルックリンのライブハウスは選挙当日に大型スクリーンを持ち込んで選挙結果を見ながらパーティーとなる。とにかく、これだけの人が政治に関与する感覚は日本では味わったことがなく、選ばれた人により、知らないうちに決められてしまう総理大臣より、一人一人が投票出来る大統領というのは、実際に政治に参加している事を生で感じとれるという点において格段の差があるのだろう。先週末、ベンの誕生会で学校へ行くと、担任の先生が僕の知らない話をしてくれた。ベンは模擬選挙授業中、サラ・ペイリンの写真を見せると「Uh, Sara Palin. She is so beautiful」などと言っていたそうで、家では「I like Obama」と言っていたのとは話が随分と違う。「もしかしたら、ベンはペイリンが好きでマケイン(共和党)に投票したかもしれませんね」と先生がおっしゃるので、家で訊いてみると、「I voted Obama」と返事が返って来た。それとこれとは別のようだ。