化ける楽しみ

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Nice!

ハロウィンは子供にとって楽しく、大人にとっても変装願望とちょっと無礼講な雰囲気を楽しむ行事としてアメリカ文化に根付いている。クリスマス・ストアー同様、ハロウィンの為に1年中オープンしている店があるのがそのイベントの大きさを物語っているのだが、そのイベントも15歳で正真正銘ティーンとなったベンにはもう子供じみた行事となってしまったように思えた。小学校くらいまでの子供がスパイダーマンなどの衣装をつけてはしゃぐか、完全な大人が、おふざけの仮装パーティとしてパーレーツやドラキュラに変装したり、時事を反映させたヒラリー・クリントンやサラ・ペイリンになるというのはよくある。ティーン達には丁度隙間の年齢となっていてちょっと恥ずかしいのではないかと考えていたのだが、これまた大人の影響でティーンの間でもパーティは開かれることが多いようで、キャンデーを貰いに行くという昔ながらの子供のハロウィンとは違う大人っぽい楽しみになっているようだ。しかし、人目など気にしないベンにとっては、たとえもうすぐ15歳の誕生日を迎えようとしていてもハロウィンには仮装をして、キャンデーを貰ってという気持は変わらないようで、ベンの通うアフタースクールから、「土曜にハロウィンのパーティーをやるのでコスチュームをつけてどうぞ」との連絡があったときにはすっかり行く気になっていた。数日間どうしようか迷って「急に言われてもコスチュームがなあ」と思って妻に相談すると、ドラッグ・ストアに売っているモンスターのマスクを買えば良いという事になり、上手い具合に大掛かりではないマスクだけという簡単な仮装をして次の日パーティに行く。そのマスクは良く出来ていて、予備知識なく見るとかなり怖い。いつも鏡が大好きなベンはそんな恐ろしくなった自分を鏡に映し、しばし楽しんでいた。僕はそんな姿を見ながらベンのハロウィンは歳に関係なく仮装して遊ぶことにしようと思っていた。