爪先立ちに歴史アリ

15
Nice!

自閉症の子供の特徴として「爪先立ち」があげられることが多い。のび太、いまだに爪先立ちですから、ハイ。こののび太の爪先立ちには歴史がある。2歳児検診で、保健士さんが絵本を開いて、「りんごはどれ?」「車はどれかな?」などとたずねたり、逆に絵を指差して「これなあに?」と物の名前をたずねたりする検査があった。・・・・できるわけない!!!まず、知らない場所に行って椅子に座るはずがない。何とかなだめすかして座っても、意思疎通も会話も全く成立したことのないのび太、そんな検査、やる前から「無理ですから~~~~~!」と叫びたくなった。椅子に座る座らないで汗だくで大騒ぎする私とのび太の前で保健士さんはため息混じりに「はい!もういいです!」の言葉と同時に「要観察」のハンコをバンッと音を立てて押した。ぐったりだった・・・もう帰りたい・・・次の検査の順番を待って「おもちゃコーナー」で遊ばせているときある保健士さんが近づいてきた。「元気ですね~のび太くん」え?何で名前知ってるの?と、思いながら「ハイ・・・元気です。でもなかなかコミュニケーションとれなくて。 他のお子さんみたいに会話にならないんですよね」と、うっかりグチが出た。「う~ん、でもまだこのくらいの子だと 発達には差があるから心配しなくても大丈夫ですよ。」と、言ったところで、ん?・・・とのび太をジーッと見入った。「のび太くん、爪先立ちで歩くんですね」「あ~そうなんですよ。 熊川哲也、目指そうかと思って~(笑)」次は1年後、3歳児検診。私は我慢できなくなって「この子と会話が出来ないんです。どうしたらいいですか?」と言うことで、発達相談を受けられるようにしてもらった。その後、3回発達相談を受け、その中で発達検査やWISCなども受けた。しかし、「様子を見ましょう」と言う言葉しか残らないのだ。3回の発達相談の待ち時間をいつも遊んで相手してくれたのが2歳児検診で「爪先立ち」を指摘した保健士さんだった。「おおお~!のび太くん、 今日も爪先立ちでよく走れるよね~スゴイ!!!」「熊川哲也への道をまい進しています~!(笑)」なんて笑い話にしていた。しかし、児童相談所の検査員の発達相談だったためはっきりと診断もされず、どう対処したらいいのかもわからないまま。3回目の発達検査で言葉の教室の先生と出会い、診断のきっかけを作っていただいたのだが、この、発達相談の時に言葉の教室の先生が来ていたのには訳があった。発達相談を受け続けたところで児童精神科医が診なければ診断はいつまでたっても出ない。せめて、どう対処して、どう接していけばいいか、伝えてくれる人を介してあげよう、という保健士さんの配慮で、言葉の教室の先生を呼んだらしいのだ。自閉症でも必ず爪先立ちをするとは限らない。たまたま、のび太は爪先立ちが目立っていたおかげでやっと、診断にたどり着けた。爪先立ちが出会いをくれたし、のび太と私の出口のない不安から未来を切り開いてくれた。今でも、ふと、爪先立ちをしているのび太が何だか、とっても可愛い・・・可愛いなんて言ったら、今じゃ、怒られるけどね・・・!