先月は定型発達者について考えることが多かった。
というわけで、年が明けてもしつこく定型発達者研究シリーズを続けてしまおう。
普通に会話しているつもりでも、訳のわからないうちに定型発達者の機嫌を損ねてしまったという経験のあるアスペルガー者は多いだろう。
そこには言語というものの根幹に関する理解の違いが関わってくる。
アスペルガー者は言語を事実や用事の単なる伝達手段として使っているが、定型発達者は言語を感情のやりとりに非常に多用しているのである。
さて、10日ほど前だっただろうか、息子から、とある質問をうけた。
○○を断るときに定型発達者的にはどういう回答になる?
というものだった。
飯を作っている最中にいきなり言われても急には出てこない。
当たり前だ、この辺は頭脳にデータベース化して普段、定型さん対応しているのだ。
で、家の中ではデータベースを起動していない!
急いで起動し頭の中を検索し答えるが、結構焦る。
どんな内容かというと下を参照して欲しい。
「アスペルガーの為の一般人用語翻訳」
https://blog.livedoor.jp/terazuhurido/archives/50994502.html
上記の例以外にもアスペルガー者がはまりやすい落とし穴は沢山ある。
とりあえずメジャーな落とし穴で考えていきたい。
さて、ここからは例を出して話を進めていこう。
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【例1】
A「大変そうだね、手伝おうか?」
B「珈琲もう一杯どう?」
これは定型発達者的には単にそのもの(こと)が必要かどうかを問うているのではない
相手の事を気遣っての発言でもある。
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もう一つ例をあげておく。
なんだかんだとトラブルのネタになるこれだ。
【例2】======================
「どうして君はそう何度も遅刻するんだ!」
「なんど同じ事を言わせれば気が済むんだ!」
これは定型発達射的には怒りの表現である。基本的に叱責がメインである。(理由を問うているのではない。まして回数を答えさせようというのでもない。)
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さて、【例1】で問題になるのは断る場合なので断る場合で考えてみる。
アスペ的断り方は、「内容が伝わればいい」ので
Aに対しては
「いや、いいよ」
Bに対しては
「いらない」
であるが、定型発達者相手だとそうはいかない。
なんて素っ気ない答え方だと思われることうけあいである。
下手をすると怒りを買いかねない。
そうならないためには、つまり…相手が自分を気遣ってくれたことに対し、礼をいう部分が必要である。
だから、模範回答例は
Aに対しては
「ありがとう、でも、もう少しでおわるからいいわ」
Bに対しては
「ありがとう、でももう結構です」
となる。
さて、【例2】のケース。
表面的に疑問形になっているので、アスペルガー者は「反射的に」理由を答えようとしてしまう。または回数をカウントしてしまう。
そしてそれを答えてしまい、さらに相手の怒りを増大させてしまう。というパターンを取りがちである。
しかし、この手の表現は「怒り」の表現だから、まず相手としては「怒りを収めさせて欲しい」のであるからして、正しい回答は
「申し訳ありませんでした」
理由をのべるなら相手の怒りがおさまってからである。
ここで疑問に思うことがある。
「謝られると気が収まる」という現象だ。定型発達者は謝られると怒りの度合いが比較的簡単に減少するようである。それと何故「謝って欲しい」と思うのか…(頻度もけっこう高そうだ)これも疑問である。なぜなら、私は人に「謝って欲しい」と思うことはまずないからだ。
ま、これはまたの機会にしておこう、追求し始めると長くなりそうだ。
さて安直にまとめてみるが、定型発達者は「感情や気遣いのやりとり」をできるものとして、相手に接するので、アスペルガー者がそこに配慮しないやりとりを繰り返していると、次第にアスペルガー者に対し不快感を蓄積して嫌ったり、「心の交流ができない」というようなストレスを感じてくる。
定型発達者の会話は「感情指向」なのである。
アスペルガー者が実際に「人の気持ちがわからない」といわれるのは、実はこういったところが大半であると私は考える。
さて、いったいどうしたらこれを解決できるのか…
定型発達者側に理解や配慮を求めるのは実は現実的でない。アスペルガー者の方が定型発達者の「感情や気遣いのやりとりがないとストレスに感じる」という特性に配慮してあげる方が手っ取り早い。
次回は具体的なかつ簡単な対処法に踏み込んでみたい。
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いや、あのですね…
年始早々のお願いというのも
なんではありますが…
一つ、ぼちっと…