YOOちゃんをとても可愛がってくれていた義兄(YOO母の実兄)が亡くなった。
余命数ヶ月の宣告から、およそ1年に及ぶ闘病の末、最後まで職場への復帰を望みながら53歳という若さでこの世を去った。
残していく家族のことを想い、さぞや無念だったろう。
マラソンが趣味だった義兄は「ホノルルマラソンに出場してみたい」と夢を語ったことがあったという。
福祉施設の職員だった彼は、YOOちゃんの障害の事を打ち明けて以来、だれよりもYOOちゃんを可愛がってくれた。
「癇癪をおこすのは自分の意志をきちんと持っている証拠だ」と助言をしてくれた事もあったっけ。
いつものように学校に登校しようとする朝・・
電話をとった母の、ただならぬ様子に何かを感じたのか、
「おじちゃんが死んだんだって!」
「もう、お見舞いに行っても、おじちゃんには会えないんだよ」
と伝えると、一瞬険しい表情を見せた。
学校からの連絡帳には「おじちゃんが死んじゃった」「おじちゃんが死んじゃった」と何度も口にしていたと書かれていた。
その日の夕方、冷たくなったおじちゃんに会いに行った。
お通夜に訪れた人々が多くいる中で、誰に言われたわけでもないのにYOOちゃんは行儀よく正座し、表情の消えたおじちゃんと対面した。
人の死というものを、どう伝えれば良いのか分からず、「とにかく顔を見せよう。何となく感じてくれるかもしれない」と、僅か三日前に、病院にお見舞いに行ったおじちゃんの、変わり果てた姿に対面させたのだった。
どういった理解をしたのかは分からないが、もう大好きなおじちゃんには会えないことは、何となく分かった様子だ。
いつか、父が亡くなる時、YOOちゃんはどんな反応をするんだろう・・・などと考えたりしながら、悲しみの儀式を見守った。