ツヨは寄り道を許しません。
歩く道順が決まっていて、たまに自分からあっさり変更したりしますが、
こちらの行きたい道への変更は、決して応じてくれません。
2、3日前、幼稚園バスを降りてからのマンション敷地内の5分の帰り道、
コトがお友達と消えてしまいました。
親からわざとちょっと離れたり、隠れてみたりしたい年頃。
お友達と一緒で気が大きくなったのか、呼んでも返事もなし。
お友達のママが探しにいってくれたものの、行方不明。
ツヨは早く家路を進みたい。
でもコトをおいては帰れない。敷地内と言っても、車も自転車も通る。
オートロックの開け方も教えてない。
パニックに入るツヨ。
「待って」というと余計逆上します。
お友達ママが見つけてくれるのを待ちながら牛歩で進みます。
コトを探しに横道にも入れません。
だんだん泣き出し、のけぞり、寝そべり、
アスファルトに頭を打ち付けて号泣するツヨ。
・・・手には玄関の鍵。ツヨの頭の中はこうです。
「いつも通りに鍵をオートロックに挿して自動ドアを開け、
郵便受けを開け、バタンと閉め、壁に沿って廊下を歩く。
エレベーターに乗って玄関の鍵を開ける。」
全ての儀式をスムーズに行うことしか
今のツヨの頭にはないのです。
コトがいないことは僕には全然関係ない・・・。
打った頭が痛くて私の手をクレーンで頭にもっていき、「さすれ」のサイン。
なかなか歩かない私に怒り、またのたうち回り、頭を打つ。
余計暴れるので抱っこもできない。何とか頭だけはカバーしないと!
やがてお友達ママがコトを連れて追っかけてきてくれました。
コトに一言、厳しい顔で
「お母さんから離れてはいけません。」
見る見る泣き出すコト。ごめんね。でももう二度とはして欲しくない。
まだ4歳。
もう少し大きくなるまで、ツヨと私の歩調に合わせて歩いてね・・・。
あと何年かすればあなたは自由に一人でどこへでも行けるようになるのだから。