そしていつものようにベンは帰ってきた。毎年キャンプの後は日焼けをして少し痩せているのだが、 家に戻って自由に食べられる状況はベンにとって最大の誘惑なのだろう。1週間もしないうちに体重は元に戻ってしまう。
今年は日本からのキャンパーも参加しているキャンプだったこともあり、キャンプ中の連絡でも、「ベンは日本人の子たちと流暢な日本語で会話をしています」と聞いた。もちろんそれを見た先生はアメリカ人で、ベンがどの程度の日本語を喋っているのかはわからないので流暢ということになるのだろうが、何かしらのコミュニケーションがあったことは興味深い。
夏休み前に学校であった、性的な問題行動(ハグしたときに下半身を押し付けてしまう)も無かったようで、ひと安心だ。
回転や、手叩き、足をふみならすといったマイルドな問題行動は継続しているが、下半身に及ぶ重大な問題に関してはコントロールが利いているようで、この調子で自制心がついてくれればと思う。
下半身の問題に関しては、「そういう行動は犯罪になるぞ」とキャンプ前にかなり脅かしておいたので効き目があったのかもしれない。
僕らでも、頭で理解してもついついやってしまうというのは法にふれないからということがボーダーラインになっていることも多く、ベンにとっても同じように自制する加減があるのかも知れない。
法には触れないが、外で出たゴミを決してそのまま捨ててしまうことは無く、すべてポケットにしまい込むという几帳面さもあるので、自分の中での法律というのもあるのかも知れない。
一般社会の中で生きてゆくための、ベンなりの法律がやがて実を結ぶのを期待したい。
キャンプの2週間を取り戻すかのように食べるベンだが、良い変化は最近ゆっくりと食べるようになった事。味わう事を覚えたのか?
それでも食べる量は同じなのだが、見ている側としては好ましい変化だ。
旅は終わり、何事も無かったかのようにいつもの夏休みが始まった。