昨日は「イヤなおばちゃん」のことを記事にしたので
今日は「優しいおばあちゃん」のことを書きます。
のび太、年長の冬休み、私は1月末に卵巣嚢腫の手術のために、
いろいろ検査を受けるため、のび太をつれて病院に行った。
「のび太、お母さん、今日、いっぱい検査があって、
終わる時間も何時になるかわからないの。
お昼の時間もう〜んと過ぎちゃうかも知れないけど、
お母さんと病院に行って、待っていられる?」
と聞くと、
「うん!折り紙とあやとりをして待ってるから大丈夫!
だって、もうすぐ1年生だし!」
と、頼もしい一言で、のび太を連れて行ったのだ。
「待つ」ということが何より苦手なのび太。
もし、パニくっても、それも経験だ!
幼稚園で使っているお手さげに、
折り紙(いろんな大きさのもの)、折り紙の本1冊、あやとりひも、
水筒に麦茶(当時は飲み物は麦茶しか飲めなかった)、一口おにぎり2個を入れて、まず産婦人科の外来へ。
すぐに、採血、レントゲン、心電図、CTの順に回るように説明され、
そのつど、のび太も金魚のフンのようにちょこちょこついて回る。
のび太はどこの待合室に行っても、
マイペースでちょこんといすに座り、
ひざの上に折り紙の本を乗せ、その上で折り紙を、あの独特な手つきで折ってゆく。
待合室の注目の的だ。
だって、見たこともないような、高度な「宝船」とか「柿」とかを
ちっちゃい少年がスイスイ折っているんだもの。
それに飽きると、あやとりひもを出す。
これまたすばやい動きで、2段ばしご、3段ばしご・・・と、
1段ずつ増えて10段ばしごまでパパパっと作ってゆく。
「すごいね〜」と、向かい側のおばちゃんが小声で小さく拍手する。
そして、ひとしきり遊ぶと、水筒の麦茶を飲む。
そりゃ、注目の的だってば!
最後のCTの待合室で、隣におばあちゃんが座った。
入院されている方のようだ。
のび太が器用にあやとりをするのを見て、
「あら〜いまどき、めずらしいね〜。すごいね〜・・・」
というと、のび太がおばあちゃんに向かって
「二人あやとりできる?」と、おもむろに尋ねた。
「できるよ〜どれどれ・・・」
と、二人であやとりをやり始めた。
相手をしてくれる大人が大好きなのび太。
調子に乗って
「今度は折り紙しよ〜っと!」
と、折り紙を折り始めた。
「あら〜折り紙も上手だこと!」と誉められ、
作った折り紙を、「これ、あげる」「これも、あげる」と、
おばあちゃんの手にいっぱい乗せ始めた。
「のび太〜おばあちゃん、これから検査だからね。
もらっても困るんだよ。」
と、言いかけたとき、私の名前が呼ばれて検査室に入った。
検査が終わり、待合室に行くと、おばあちゃんの手にいっぱい
のび太の折り紙が乗せられていた。
「あ〜!ごめんなさい。ご迷惑じゃないですか?」
と聞くと、
「いえいえ、私が『ちょうだい』って言ってもらったんです。
お母さん、偉いね〜、折り紙とかあやとりとか、
こういう遊びを教えてあげるお母さんなんて、今、いないから。
さっきね、『12時だから』って
お母さんのおにぎり食べてましたよ。
お菓子じゃなくてえらいね〜って言ってあげたの。
今ね、うちの孫もゲームでしょ?
お見舞いに来てもゲームしてるから、叱ったんですよ。
本当に素直でいい子だね〜いっぱいいろんなお話してくれて。
とっても楽しかったです。」
なんて、言われてしまったワタシ・・・
えっと〜・・・
折り紙もあやとりも母、教えてないんですよ〜
おにぎりも、お昼にパニくらないためのお守りのようなもので・・・
・・・と、心の中で苦笑いしているうちに
おばあちゃんが呼ばれました。
「折り紙、どうもありがとうね。病院のお部屋に飾るからね。
楽しかったよ。お話いっぱいしてくれてありがとうね。」
と、言って、おばあちゃんは検査室に入っていきました。
昨日のおばちゃんみたいに失礼な人も確かにいるけど、
こんな素敵な出会いも、のび太のおかげでありました。
人見知りの私は、人懐こいのび太のおかげで、
知らない人とも話す勇気をもらっているような気がします。
そして、朝8時から午後1時ころまで待っていられたのび太の
成長も嬉しかった出来事でした。
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