名古屋市立中学校「体罰事件」被害者の母親からのコメント

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Nice!

千種区にある名古屋市立中学校での自閉症のある生徒への体罰事件(事件について:中日新聞記事)について、愛知県自閉症協会・つぼみの会から名古屋市教育委員会へ改善要望書(全文)を12月1日に出しました。

改善要望書のことを知って、被害を受けたお子さんのお母さんからカイパパ通信あてにコメントをいただきました。
何度かやりとりをさせていただき、ご自身の「コメントを公開して、親の思いをみなさまにもお伝えしていただきたい」との希望がございましたので、お母さんの承認を得て公開させていただきます。

こんばんは、はじめまして。
私は、千種区内の名古屋市立中学校で特別支援学級担任による体罰を受けた男子生徒の母です。

同級生のママ友から、この度の名古屋市教育委員会への要望書提出の件をお知らせいただきました。

ありがとうございます。
非力を嘆いて来ましたが、大きな力になって頂けたことがとても嬉しく有り難いです。

私達なりに教育委員会の教職員課へ、どの様になっているのかとお伺いをしておりますが、警察の刑罰を受けてからの処罰になるそうです。

今回息子が描いてくれて発覚した体罰の絵は2枚あるんです。
ひとつは、新聞記事にも載せていただいたげんこつの絵です。もう1枚は、机に頭をぶつけられて泣いている絵です。
身体の震えが止まりませんでした。

drawing

げんこつだけでは無く、この行為により、頭に出来た広範囲な打撲になりました。
しかし、担任教師は、机に頭をぶつけたことを認めていません。

いつもニコニコと穏やかな息子ですが、まだまだ突然襲ってくるフラッシュバックに苦しんでいます。

学校で行なわれた体罰調査にも担任教師は他の生徒さんへの体罰を認めてはいません。

どこまで自閉症児と親を馬鹿にしているのか?
許せません。

この度は、自閉症協会さんからの息子の体罰事件について活動くださり感謝致しております。
ありがとうございます。
どうぞよろしくお願い致します。

以下は、カイパパの感想と考察です。

わたしは、机に頭をぶつけられている絵を見せていただいたとき、息をのみ、言葉を失いました。打ち所が悪ければ、重大な後遺症さえ起こしうる危険な暴力です。ご本人の痛み、ご両親のご心労と憤りはどれほどのものか……。

一方で、担任教師は、げんこつで殴ったことは認めていますが、机にぶつけた行為はしていないと否定しているとのことです。

わたしには、いずれが真実なのかを確かめるすべはありません。
ですので、一般的な話としての感想となりますが、重い知的障害のある自閉症の子どもが、「想像で」このような絵を描けるか?
わたしがこれまで自閉症のお子さんと接してきた経験から言って「想像で」描くということは考えにくいのではないか?と思います。

現在、警察が捜査中です。真相究明が待たれます。実はこれは、「知的障害のある人の証言能力」の問題(困難性)そのものでもあります。
知的障害のゆえに、記憶があいまい、証言がうまくできない、反対尋問に答えられないといった懸念から、起訴までいたらないことが多々あるそうです(※刑事罰は、起訴されて公判による判決がなければ科すことはできません)。
今回は、本人が描いた「絵」があります。この絵を「証言」としてどのように評価するのか?

今回の事件を、多くの当事者、当事者家族、支援者、市民が注目をしています。
捜査当局は、慎重な捜査を進める上で、「証言」の価値を正しく評価し、また、知的障害のある人が安心して証言できる配慮をお願いしたいです。知的障害のある人にも、適正な司法手続きの保障を求めます。

また、愛知県自閉症協会は、今回の事件を「警鐘」として受けとめ、教育委員会としての真相究明と再発防止に真摯に取り組むことを要望しています。
どうか希望と夢をもって成長できる教育環境を保障してください。よろしくお願いします。