1週間主夫をやってみて(あるいは、エコサイクル家事のススメ)(2)

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Nice!

さて、前回のエントリでも書いたとおり、今回、妻の次女の出産にともなって、長女の学校・学童通いを含む家事一切を1週間まるごとやる、という経験をしました。私は、大学から上京して結婚するまで12年間一人暮らしをしていましたので、「一人暮らしの家事」は普通に経験がありましたし、普段から1日程度の留守番はよくやっているので、今回も「量」的な違いこそあれ、そんなに中身としては変わってこないだろう、と思っていたのですが、実際にやってみるとまったく様相が違っていました。例えば、休日の1日、朝から夕方まで娘の世話をする、というだけであれば、起きて食事をしてトイレに行って風呂に入る、といった、自分自身がやっているのと同じことを多少介助して娘にもやらせればそれで済みます。仮にそれが平日で、娘の学校がある日だとしても、妻に前日に学校に行くかばんの中身を用意してもらって、朝はそれを娘に持っていかせるだけ、帰ってきたときのかばんもそのまま放置して、妻が帰ってくるのを待てばそれで乗り越えられてしまいます。もちろん、かばんの中身を出して新しいものと交換したり、配布物を確認して必要な対応をしたり、翌日の準備をしたりといったこともやればベターですし、ついでに家の中の掃除や洗濯もやればそれもベターですが、「絶対にやらなければならないこと」にはなりません。これはどういう意味かというと、「仮にやらなければいけないことを忘れたとしても、帰ってきた妻がフォローしてくれるので破綻しない」ということを言っています。だから、気がついたこと、目に留まったことだけをやればそれで済んでしまうわけです。逆にいえば、多少やり漏らしたことがあっても問題なく済んでしまう。それに対して、1週間の家事を任せられたときにやらなければならないことは、レベルが違ってきます。たとえば、学校かばんの中身を用意する、というたったこれだけのことであっても、「1週間」の場合には以下のようなことを完璧に把握して実行できなければなりません。娘は残念ながら、何も教えてくれませんので、こちらで何が必要かを全部理解して対応しなければならないわけです。・かばんの中に何を入れなければならないか。どのポケットに何を入れるのか。・それは曜日ごと、あるいは具体的な時間割ごとにどう違ってくるのか。その情報はどこに書かれているのか。・入れるべきものはそれぞれ家の中のどこに収納されているのか。・学校からどんな配布物が届いているか、学校にどんな書類等をいつまでに出さなければならないか。・学校との連絡帳の確認と記入、行事や会合、家庭訪問などの日程の確認。さらに、我が家の場合は学校が終わった後に学童に行く日もありますので、・学童の日程の確認と着替え・連絡帳等の準備。・療育手帳やタクシー券、小銭等の用意。・学童に行くときに提示する絵カードの用意。・ヘルパーさんのパニック対応用のお菓子。・学校の連絡帳に、今日は学童に行くということを記載。・スクールバスの担当者向けの、帰りのバスに乗らないことのメモ(登校時に渡す)・学童終了時の迎え、サービス利用簿への押印といった準備も漏らさず済ましておく必要があります。これらの細かい作業のほとんどは、「1日だけの留守番」の場合は不要で、「あらかじめ準備された状態で送り迎えだけやって、戻ってきたものはそのまま置いておけば帰ってきた妻が処理してくれる」という形で済まされてしまうことです。でも、「1週間」だとこれらも全部自分でやらないといけません。ここには明らかに、やることの細かさにおいて「質的な違い」が生まれています。さらに、これらの作業は「かつて一人暮らしをしていたとき」とも様相がまったく違います。一人暮らしをしていたころは、「家事」は面倒なのでできるだけ作業量が少なくなるように、例えば洗濯物も週末にまとめて済ませて、たたんだり収納したりもせずに物干しに干したものをそのまま外して着たりしていました。これについても、他の家族がいることで、どうしてもやるべきことが多くなり、できるだけ家事のボリュームを減らそうという動きが難しくなります。例えば同じ洗濯でも、学校に来ていく体操着は5着もないので週末にまとめて洗うこともできず、毎日洗わなければならなくなります。また洗濯物の総量が増えるため、物干しに干したままでは次の洗濯物が干せなくなるので、どうしても洗濯物を外してたたんでちゃんとあるべき場所に収納しなければならなくなります。こういったこともあいまって、1週間、家族のぶんまで含めた家事をまるごと引き受ける、ということは、単に家事の「量」が増えるだけでなく、その複雑さが飛躍的に高まり、結果として「質」的な違いまで出てくることに気づいたわけです。(次回に続きます。)