知的障害者入所施設での虐待を防ぐために~Saussure氏の考察

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Nice!

袖ヶ浦福祉センター養育園での虐待死事件に関連してつぶやかれた、知的障害者入所施設の構造的な問題、職員の心理、資質、処遇について現場からの声をまとめさせていただきました。Saussure(ソシュール)さんは、神奈川県で長年障害者福祉にたずさわっていらっしゃる方です。私がTwitterを始めた早い時期からずっとフォローをさせていただいています。

・Togetter:知的障害者入所施設での虐待を防ぐために~Saussure(@mamiyac330)氏の発言を中心として
https://togetter.com/li/609355

このまとめを読んで、わたしが思ったことは──

そもそも「入所施設が必要とされ、それ以外の選択肢がない」という状況を変えるしかない。
今現在入所されている方々にはそれぞれに理由がある。既に身寄りがない人も多い。それは事実。だがしかし、難しくても、あるべき姿を諦めてしまっては現状が固定化されてしまう。
一方で、すぐに、入所施設がゼロになるわけがない(ゼロがよいとも思わない)。だとしたら、今ある施設について、"弥縫策"と批判されても、少しでもマシな対策をしていかなければ、その努力すらしなかったら、「障害者は「棄民」として捨て去られ、忘れ去られた存在だ」という異議申し立ては、全く過去のものになっていないということだ(実際そうだ)。
Saussure氏の「現場を知って」という提起は、そのための議論だと認識しています。

そして、同じくSaussure氏の秀逸な批判的考察を、合わせて読んでいただきたいです。

・Togetter:「社会福祉法人における「公設民営」と「指定管理制度」の問題」
https://togetter.com/li/609874

こちらは少し長いですが、上記まとめで描かれる職員の閉塞感の背景にあるものを明確にシてくれています。内容は、

(1)知的障害者入所施設で威圧的指導が常態化する理由

(2)重度知的障害者の施設が、不人気職場故の人事異動の偏り(就職したばかりの若手をあてがう等)

(3)県営施設を指定管理に出す根源的弊害

が指摘されています。

わたしが見聞きしてきたことと指定管理者制度(*)について思っていたことが、端的にえぐりだされています(残念な実情として)。

このまとめは、問題提起です。解決策は書かれていません。そもそもどこからどう手を付けたらよいのか、暗澹たる気持ちになります。これまで延々と抜本的な改革がなされずに来たことには、その原因があるはずです。
それは、そもそも入所施設が、「そのようなものだから、そのようになってしまう」とさえ、思ったりもします…
でも、それは思考停止です。現実の虐待を止めることができません。具体的に考えないと。

12月30日の記事「千葉県立袖ヶ浦福祉センター養育園について」と合わせて、お読みいただけたらと思います。

*指定管理者制度とは、小泉内閣の時の行財政改革の目玉のひとつとして2003年に導入されたものです。
それまで、国や地方自治体が設置した公の施設は、直営か、特別な第三セクターの団体しか運営ができないとされていましたが、民間事業会社やNPOなどが参入できるようになりました。多くの場合、公募をしコンペによって受託者を決定しています。