またも唐突だがちょっと視覚過敏についての情報あさりをしていたのでまとめておこう。発達障害者でよくある感覚過敏のひとつに視覚過敏がある。症状はさまざまだ。1)ある種の視覚刺激で不快感をもよおす。2)立体視、奥行き知覚に問題が生じる。3)形状認識に困難が生じる。3)集中力が低下しやすい。4)読解や書字に困難が生じる。1)2)は原因で4)5)は結果、3)はどちらにもなりうる要素なのではないかと思う。眩しい刺激が苦手で帽子やサングラスが手放せないというくらいなら健常者でもスキー場に行けば経験できるので想像がつきやすいが、それ以外の個別の症状はなかなか視覚過敏をもたない人にとっては理解しにくいことである。ある種のフォントが耐えられないとか、コントラストが高いと却って見えにくくなるとかちょっと想像がつきにくいだろう。まわりが理解してなんとかなる部分は少ないし、対策を立てるのも結構困難だったりするので厄介だ。おまけに見え方というのは「その人の視覚世界」を作っているものだ。そのため、形状認識や立体視あたりに問題がある場合、なぜ集中力が落ちたり書字や読字の困難を抱えるのか?なぜ球技の球を追えないのか?本人も悩みはするが視覚に問題があるとなかなか気がつきにくい。私自身のことに関していえばちょいとフォントにはこだわりがあったり、いつも使っているエディタの背景を薄い黄緑色にしているとか、ハイコントラスト、高照度を好む傾向はあるとか、あまりカラフルに文字を装飾されているとイライラするとか(蛍光マーカーは大の苦手)はあるものの音声過敏ほどの生活上の問題を抱えていないので(両眼視はできないがそれはまた別の問題だしあまり困ってないので省略)、あまり突っ込んで来なかったが、知り合いのASD当事者の話を聞いたりするにかなりしんどい人が多そうだなあとは思っていた。さて、以前、発達障害者の視覚の問題について立体視や動体視力方面からのアプローチがあることは書いたが、最近視覚過敏に絡んで「アーレンシンドローム」というものをWebで発見。ざらっと調べてみると視覚過敏のうち「カラーグラス、カラーフィルム」で解消or軽減可能なものを言うようだ。筑波大学心理・発達教育相談室のアーレンシンドロームのページ(PDF)筑波大学 附属学校教育局 教育相談(アーレンシンドロームの検査ほか各種心理相談、検査の概要)のページアイケアシステム(横浜)のアーレンシンドロームのページ日本ではこのくらいしか見つからない。が、海外サイトまで足を延ばしてみると興味深いサイトが見つかった。アーレン研究所(英文)どうやら、アーレンシンドロームの発見者、ヘレン・アーレン博士の創設したアーレン研究所(Irlen Institute)のサイト。このサイトによるとアーレンシンドロームというのは20年ほど前に発見されたもののようだ。同研究所では自閉症やADHDの障害像としての視覚過敏を扱うほか、偏頭痛の原因としても視覚過敏を扱っている。アーレンシンドロームのセルフテストのページや、アーレンシンドロームでありがちな見え方のサンプルを動画のかたちで掲載していたりする。同研究所によると日本における検査可能なのは筑波大の熊谷氏しかいないということで、また筑波大に戻ってしまうといった感じで、アーレンシンドロームというのは日本ではまだほとんど馴染みがないものだが、海外では数年前にはテレビなどで報道されているようである。(アーレン研究所がYOUTUBEにアップしている動画もたくさんあった)見え方のサンプル動画を見てみたが、正直、「これじゃ情報を頭に入れるだけで大変!」と思った。紹介されていた見え方は、BLURRY、FROATING、HALO、RIPPLE、RIVERS、SEESAWS、SHAKEY、STARWARS、SWIRL、WASHOUT、WAVYの11のタイプ。どのタイプにしろ文字を見ることがにストレスになるということが感覚的によくわかる。この動画はぜひ視覚過敏を持つASD児の親御さんや教育関係者の皆さんに見て欲しいと思う。ヘレン・アーレン博士の著書も発見↓。翻訳者は前述の筑波大の熊谷恵子氏。
それから、クロスボウ社という英国のメーカーから、「魔法の定規」「魔法のシート」というカラーシートが発売されているのも発見。日本にも輸入されているようだ↓。
クロスボウ・ジャパンのWebサイトでも直売しており、A6サイズと小型だが10色入ったシート(ラインなし)のセットが2100円で販売されていた。精度のよい検査を受けられる相談機関も限られる現在、こういった商品を試してみるのも悪くないかもしれない(念のため書くけど、ご使用は自己責任でね!)発達障害の視機能の異常の原因解明は正直まだまだ進んでいない。が、こういったさまざまな対処法が生まれてきているのも事実。視覚過敏で困っている人たちが早くこういった手法のうち、自分に合うものと出会えることをこころから願う。最後に発達障害の視機能問題についての参考サイトもまとめておく。大阪医科大学LDセンター 眼球運動、認知機能の改善を目的としたトレーニングをしている。併設クリニックあり。川端眼科クリニック 視覚発達支援センター 川端眼科の関係機関のもよう。視覚認知がメインの模様、各種検査等もしている。アイケアシステム 高機能の眼鏡専門店。目の運動機能、視覚認知機能、アーレンシンドローム等、多角的アプローチ。検査、眼鏡調整等(横浜)ジョイビジョン 眼球運動や視覚認知の検査、改善トレーニングをしている(神戸)筑波大学附属教育局 心理・発達教育相談室 アーレンシンドロームの検査をしている。(東京)アーレン研究所 アーレンシンドロームについての解説、セルフテスト等。