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NHKでアイトラッキングの紹介をしていました。
まこちゃんが小さかった頃、早稲田大学の情報センターのイベントで アイトラッキングが紹介されていてました。当時は アメリカまで行って何度も調整をかけて 時間も長くとられる・・という大がかりで 多額の費用が必要な技術でした。
当時のまこちゃんは 言葉がほとんど無くて、できる事が少ない頃でしたから、目の動きでキーボードを動かせれば、未来が拓けるような気持ちでいました。
意志がはっきりとあれば 指さしのボードでも良いのかもしれませんが アイトラッキングで自由に表現ができることは夢のようにすばらしく思えました。
先日、TVで紹介されていて、身近な技術になったことにとても感動しました。
NHK「おはよう日本」アイトラッキングの紹介 2013年5月15日(水)放送
“視線”が暮らしを変える
阿部「私たちの暮らしをより便利にする、新しい技術についてお伝えします。」
鈴木「これまでスマートフォンは指で画面に触れて操作していましたが、その操作の仕方が大きく変わるかもしれません。
そんな新技術を搭載したスマートフォンが、今日(5月15日)発表されます。」
中山「ふだん私たちが指で操作するスマートフォン。
でもこちらは、触れることなく動かすことができるんです。」
こちらの新しいスマートフォン。
画面が自動的にスクロールします。
操作しているのは、目です。
視線を上に向けると、画面は上へ。
視線を下げると、画面は下へスクロールします。
スマートフォンに内蔵されたカメラが目の動きを捉え、画面を動かしているんです。
この技術、「アイトラッキング」と呼ばれています。
鈴木「この『アイトラッキング』、ビジネスなど様々な分野で活用され始めています。」
阿部「アイトラッキングの技術を開発している会社から、中山アナウンサーが中継でお伝えします。」
視線で自由自在 “アイトラッキング”
中山「東京・品川にあるこの会社、5年前に設立されました。ここには最新のアイトラッキングの技術を組み込んだ機器が並べられています。アイトラッキングというのは、視線を捉える技術。
ではどうやって視線を捉えているかというと、こちらをご覧ください。
阿部さんと鈴木さんの写真、お借りしました。今、私がどこを見ているか分かりますか?」
鈴木「何か出てきましたね。」
中山「このモニターに出てくる赤い点が、今私が見ているところなんですね。
どういう秘密があるかといいますと、実はこのモニターの下にある黒い部分、ここにLEDが埋め込まれているんです。
LEDから赤外線が出ていまして、瞳の部分に当たります。
この瞳の反応をカメラが捉えることによって、どこを見ているのかが分かるという理屈なんです。
これ、最近進歩しておりまして、1センチ単位の細かさでどこを見ているのかが分かるんですね。」
アイトラッキングで商品を売れ
中山「さらにこうした視線のデータを積み重ねることによって、今、マーケティングにも応用されているんです。たとえば食品メーカー。こんなふうにカップ麺が並べられていて、どんなデザインのパッケージが消費者の目をひきつけるのか調べたいとします。
そんな時には、こうしてアイトラッキングの機器の前に立って、この棚を見ます。
一定の時間見て、その結果がこちらにあらわれます。
どれだけ赤く表示されているかということで、長い時間見ていたかが分かります。
私の場合、この左の部分、そのあと上の方も見ていて、真ん中もちらっと見ていましたね。
無意識のうちにどこを見ているのかということを、正確に把握できます。
こういう技術を使いますと、どんな色やデザインが目をひくのか、あるいはどこに並べればお客さんの目をひきつけるのかが分かるというわけなんです。
ビジネスの世界で今利用が広がっている、『アイトラッキング』。
さらに今、医療や福祉分野でも変化をもたらしつつあります。」
難病患者を支えるアイトラッキング
藤田正裕さん、33歳です。
3年前、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されました。
今では、顔と左手の人差し指しか動かすことができません。
気管に直接酸素を送るようにしたため、声も出せなくなりました。
去年(2012年)、介護用に発売され始めたアイトラッキングの装置を知り、自分のパソコンに取りつけました。
視線にあわせてカーソルが動き、1秒ほど見つめるとクリックもできます。
目だけで、パソコンのあらゆる操作ができるようになった藤田さん。
休んでいた仕事に復帰しました。
今では好きな時に音楽を聞いたり、フェイスブックでの交流を楽しんでいます。
今の気持ちを、パソコンを使って教えてくれました。
藤田正裕さん“このおかげで、仕事も続けられ仲間と繋がれる。精神的には命綱です。”
視線で自由自在 “アイトラッキング”
阿部「藤田さんにとっては、なくてはならない技術になってますよね。」
中山「そうなんですね。
藤田さんは、この技術のおかげで、以前勤めていた広告会社の仕事にも復帰して、今では企画のプランニングもされているそうなんです。
このアイトラッキング技術の開発をされている会社の社長、蜂巣健一さんです。
蜂巣さん、このアイトラッキングという技術、これからどんな可能性を秘めているといえそうですか?」
トビー・ジャパン 蜂巣健一社長「たとえば車のカーナビですね。
今はよそ見をして手を伸ばして画面にタッチしなければいけませんが、フロントガラスに映すことで、目で操作することが可能です。
この技術はいろんな使い道がまだ残されていまして、私たちの生活をもっと便利で豊かにすると思っています。」
中山「私たちの暮らしを便利で快適なものにしてくれる可能性のあるアイトラッキングですが、一方で、専門家からは懸念の声も出ています。」
トビー・ジャパン
https://www.tobii.com/ja-JP/eye-tracking-research/japan/
アイトラッキング 課題は
慶応大学の福田亮子特任准教授です。
アイトラッキングが暮らしにどう役立つか、研究しています。
これまで、高齢者が駅の券売機や家電を使う時の視線のデータをとり、高齢者が使いやすい製品の開発に生かそうと提案してきました。
しかし今後、この装置がパソコンや町なかにあるATMなど、様々な製品に組み込まれるようになると、知らない間に視線が計測され、プライバシーの侵害につながるおそれがあると指摘します。
慶応大学大学院 福田亮子特任准教授「ATMの話になってしまうが、どこを見ていたのかがわかっていって、その視線のパターンを見ていくと、この人の暗証番号がこれであったと、そういうデータが盗めるのであれば、そういうことに使える可能性はある。
自分にとって一番大事だと思われることを見ているということになりますから、それが外に見えるということは、考えの一端、かなりの部分が目の動きで知られることになる。
少なくとも、ここでは目の動きを撮っているとわかるような形にしておかないと、問題がある。」
中山「私たちは話す言葉はある程度制御できますが、何を見るかというのは無意識に行っています。
それが自分の知らないところでさらけ出されているとすれば、決して気持ちのいいものではありません。
この新しい技術をどういう使い方をすればみんなが幸せになれるのか。
これから考えていく必要がありそうです。」