診断までの経緯(5)

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Nice!
帝京大学医学部附属病院は王子駅から徒歩10分ぐらい。
エスカレーターで3Fまで上がり、右手一番奥が泌尿器科。
待合の椅子には患者がいっぱい。
奥さんに連れて来院したという感じの具合の悪そうなオヤジ達が大勢待っている。
前立腺癌なのか、更年期症状なのか。見ただけではわからない。
ただ、みんな一様に死にそうな顔をしている。

予約の頃は体調が最悪だったけど、それから3週間経っている。だいぶ復帰してきている感じで、私は結構元気だったりしている。
というか、心療内科の診察の時もそうなのだが、体調最悪って感じの患者達に囲まれてしまうと、それに比べて自分は全然元気! みたいに思えてしまう。そうやって自分を励ましているのかも知れない。他人の不幸を利用する、嫌な性格だ。

3週間の我慢。いつしかそれが私が私自身に投げかける合い言葉になっている。
ぶっ倒れても、心療内科に行ってパキシルとデパス貰ってきて、毎日ちゃん服用して寝ていれば、3週間我慢すれば復帰できる。そんな秋を毎年経験してきていたからだ。

やっと自分の順番が来た。予約時間の通りには進まず、2時間近く待たされた。
これだけ患者がいるんだから仕方ない。

「奥様は?」
「一人できました」
「付き添いなしで?」
「はい」
「んー、なら大丈夫です」
「は?」
「LOH症候群の患者は一人で病院来れません」
「でも私は来れてますけど」
「だからLOH症候群じゃないと思います」

担当医とのそんな会話に、ちょっとショック。
LOH症候群でないとすると、私は単純に精神的な鬱だということになってしまう。

「特に春と秋の季節の変わり目に体調が悪くなるのですけど」
「んー、それはLOH症候群とは関係ありません」
「は?」
「季節代わりとLOH症候群は関係ありません。更年期症状は季節の影響を受けません」

自身あり気に言いきってくれる担当医である。
胸の名札をチェックしておく。
ふーん、堀江重郎、っていう先生か。。。

唾液取って、血液検査して、帰宅。
自宅と病院との往復で4時間。待ち時間+診断で2時間半。
6時間半を費やした、初診の一日。。。

ネット検索で、驚いた。
あの堀江先生、メンズヘルス業界の日本で一番の権威の先生だったんだ。
漫画&アニメ業界の手塚治虫先生みたいもんだ……なんて全然関係ないことをふと思ってしまった私である。