昨年末以来、政府の障害者制度改革推進会議委員選任について、政府並びに民主党に働きかけを行ったが空振りに終わった。この委員会は内閣府主導で行われ、委員の人選についてはメンバーの中の大学関係者が行ったらしい。民主党に要望を挙げたが人選担当者が民主党の手の届かないところであったと回答があった。今後少なくともこの委員会の下のワーキングチームへの選任を求めているが、結果については未だわからないといったところだ。そもそも何故、こうした委員会への委員が必要かといえば、国連で「世界自閉症デー」が採択され、自閉症への取り組みが世界各国で進む中、日本においては自閉症や発達障害が蚊帳の外に置かれている現状を考えなければならない。障害者施策の谷間に位置し、光の届かない自閉症に対し、平成18年に制定された発達障害者支援法が唯一光のように思われたが、結果は大きな誤算でしかなかったと思われる。先進各国では、発達障害という概念から、自閉症に一本化するという施策が進む中、日本だけが障害区分としての自閉症を持たない国である。身体障害、知的障害、精神障害の障害区分に対し、知的遅れのある自閉症は、知的障害、知的遅れのない自閉症は精神障害と全く根本的に違いのある障害区分に仕分けられている。私見であるが、全ての障害区分の内、障害のある人の実数として自閉症が最も多い障害であると確信しています。そしてこの自閉症に対する療育・支援の在り方は他の障害に対しても有効であるばかりでなく、健常児者に対してもわかりやすい方法として知られています。反対に、発達障害に対する療育・支援の方法が自閉症に有効かと考えますと必ずしも有効であるとは思わないのが現実であります。ひきこもり、虐待、刑務所の服役者の中にも相当数の自閉症と思われる人たちがいるとの報告もあるように、自閉症として認知されているいないにかかわらず、支援が必要な自閉症児者が数多く存在するという事実があります。私たち自閉症協会は、こうした支援を必要とする自閉症児者とその家族に対し、支援を差し伸べ、社会に対し理解啓発を広げ、彼らが安心して生活できる社会を構築するよう今後とも働きかけていかなければならないと決意を新たにしたところです。