自閉症児の特長で「逆手バイバイ」があります。バイバイするとき、相手にてのひらを向けますが、自分の方にてのひらを向けてバイバイしてしまう。つまり、相手が自分に向かっててのひらを見せているので自分も自分にてのひらが見えるようにバイバイしてしまう・・・考えてみれば定型の子がバイバイの仕草を真似て自分にてのひらが見えているから相手にも同じようにてのひらを見せて・・・と言う風に置き換えて真似できることの方がすごいことなのかもしれない。人間の脳というものは本当にすごいなぁ~と感心してしまうのだが・・・音楽教室の講師をしていた時、グループレッスンの指導法として子供たちに向かって運指(指の動き)を見せる時、例えば右手の練習ならば右の演奏を右手でしつつ右の運指を左手で示し、左手の練習ならば左で左の演奏をしつつ、左の運指を右手で示して動かしてみせるのです。つまり、鏡状態で指の動きを見せる。ある時、右手の練習で左手を掲げて「はい!じゃあ先生の真似して右手弾こうね~」と言った時、「でも先生は本当は左手だよ!」と、指摘した子がいました。その子はだいぶ以前に記事にもしましたがとても私たちと似た特長を持つ子でありました。(→過去記事はこちら)幼稚園の時、お遊戯の練習の時など、「のび太くんだけ私と反対の手足を動かすんですよね~」と、先生に言われたことがあった。先生も子供たちにお遊戯の見本を見せる時、向かい合って、本来、右手を上げる時に左手を、左足の時に右足を動かす。鏡状態でわかりやすいように示しているのだがのび太の場合は逆。「のび太くんに聞いたら、 『先生が右手上げたから僕も右手を上げた』 って言うんですよ~」とのこと。多数派の子たちが鏡状態で先生のお遊戯を真似ているのにのび太は先生の右と自分の右をちゃんと変換?させて動いているのだ。その後、のび太も音楽教室に通いだした時、「どうして先生はわざと右手の練習の時に 左手を見せるんだろう? わかりにくいんだけどな~」」と疑問を抱いていたようです。というか、どうして素直に見たままを真似できないのか、のび太の不思議な感覚にこちらのほうが疑問を抱いてしまったのですが、この辺が自閉症の脳の不思議なところなのかもしれません。