高校生活は、初日からつまずきました。私だけホームルームに遅刻しました。おそらく、「何時に教室に集合」という指示を、私は全然聞いてなかった(聞き取れてなかった)のだと思います。遅れて教室に入ってきた私は、クラス中の冷たい視線を浴びながら、先生に叱られました。皆の前で恥をかいてしまった・・このままではバカにされてしまう・・。この汚名を返上するには、中学の時と同様に、勉強で見返すしか方法はないと思いました。それからしばらくして、学力テストがありました。この高校では、成績上位者リストが掲示板に貼り出されるのです。それは私の虚栄心を煽るものでした。絶対に名前が載るように頑張らなければと、闘争心を燃やしました。しかし結果は最悪でした。上位どころか、後ろから数えて何番目・・・といったところ。当然、上位者リストに名前は載っていません。私は半狂乱で、「採点ミスかもしれないので、採点し直してください!!」と先生に訴えたりもしました。先生に強気で訴えるなんて、私にしては珍しい行動です。それほどに悔しかったのです。テスト勉強をしたはずなのに、なぜこんなに成績が落ちたのか…。人数が多いので相対的に下がったという理由もあるでしょうけど、他にも理由があります。それは私の映像記憶力に、おそらく限界があったのだと思います。映像記憶能力は「カメラアイ」とも呼ばれ、目で見ただけのものを写真に撮ったかのように鮮明に脳に記憶出来る能力のことです。小1のとき、九九を一瞬で覚えたのも、小4のとき、古語の意味も知らないのに百人一首を全部暗記できたのも、中3のとき、教科書を眺めただけで成績が上がったのも・・・・すべてカメラアイのおかげだと思います。しかし私のカメラアイは、レインマンのように広範囲かつ大量に記憶出来るわけではなく、カメラのメモリーが満杯になってしまうと、それ以上を記憶することは難しいようなのです。(あくまで私の場合ですので。他の人のカメラアイの仕組みは分かりません)高校のテストは科目も多いし範囲も膨大すぎたので、いくらテスト勉強をしても覚えきれず、結果は芳しくありませんでした。他の生徒たちは、授業もちゃんと聞いて、暗記もして、理解もして・・・なのでテストも出来るのでしょう。でも私は授業は聞けず、理解も出来ず、暗記しかできないのに、その暗記力すら怪しくなってしまったので、成績は一気に落ち込みました。ところで成績上位者リストを公開するって、何の目的があるんでしょうね。「名前が載るように頑張りましょう」という励ましのつもりなのだろうか。私には下位者に対しての拷問だと感じました。