先日、車で1時間ほどの街に出かけた。大好きな本屋Wがあるのだ。とにかく規模の大きい本屋で探している本は大抵見つかる。ここに一日中いても飽きないだろう。その本屋の隣にこれまたデッカイ雑貨屋さんがある。そこに某有名アイスクリーム屋さん「31」がある。のび太が幼稚園の頃までは本屋Wに行った帰りは必ず「31」でアイスを食べる、と言うのがこだわりになっていた。真冬でも。どんなにおなかがいっぱいでも。しかし、この「31アイス」でいろんなことを学んだ。いつも長蛇の列なので並んで待つことを覚えた。自分でお店の人に「キッズコーンひとつください」と注文も出来るようになった。そして座って食べないとコーンからアイスが落っこちることも学習したのでちゃんと座って食べることが出来るようになった。しかし、いつの頃からか、いつの間にか、そのこだわりは消えていた。本屋Wの帰りに「31アイス」を食べなくても帰れるようになっていた。しかし、先日はあまりにも暑くて誰からともなく、「31アイス、食べよう」と言うことになり、久々に長蛇の列に並んだ。のび太は相変わらず「キッズコーンのチョコレート」座って久々に食べた。ふと、気が付くと、私たちが並んだときの何倍もの子供づれの人達が列を成していた。暑いしね~そりゃぁ、アイスだよね。その列から飛び出して走り出した1年生くらいの男の子。お母さんらしき人が追いかけてきた。男の子をつかまえて、お母さんが首から下げた小さいファイルのようなものを開いて見せていた。ここの「31アイス」の写真だ。「アイス屋さん、並びます。 並ばないと アイス、食べられません。」と、凛とした口調で話しかけた。男の子は、「アイス、並びます」と、つぶやいてお母さんに手を引かれ、列の最後尾に並んだ。見ると、どうやら列に並んだ人の多くはさっきのお母さんのように首から小さいファイルを下げている。そして、男の子と同じような雰囲気の幼稚園から小学校低学年くらいの子供達が大人に連れられていた。「自閉症っぽい子達だよね?」小声でのびパパが言った。「うん。絵カード見せてたよ」どうやら自閉症の子たちのサークルのようだ。みんな整然と並んでいる。並ぶことが辛くなって奇声をあげた子がいたけど、その子に対してもすぐに、手遊びをさせて気持ちを切り替えさせていた。「えらいね~ちゃんと並んで待てるなんてスゴイよ」心の中で拍手を送った。この子たちと同じくらいの頃ののび太と私。必死だった。必死で世の中のルールを教えていた。今、ここで落ち着いて座ってアイスを食べてるのび太と私からは想像も出来ないかもしれない。そして、今、列に並んでいる自閉症らしき子達とお母さん方に数年前ののび太と私が重なって見える。こんなに落ち着いているのび太をあの頃は想像できなかった。もちろん、自閉症は治ることはないけれど、きっと「あの頃」を笑って話せる日が来る。明けない夜はない止まない雨はない並んでいる子供達とお母さん方をぎゅっと抱きしめたくなる衝動に駆られた、真夏の午後の出来事でした。