ある夜、「おやすみ〜」と寝室に入っていったのび太。
しばらくすると・・・
「#%$&!&☆♪*%☆〜〜〜〜〜〜!!!!!」
え?のび太の声?
!!!パニック?!
パニックにしても、普通のパニックではない。
尋常じゃない叫び声!!!
「のび太?!何?どうしたの?!」
と、私にとってはありえない、一段抜かしで階段を上がっていく。
「#%$&!&☆♪*%☆〜〜〜〜〜〜!!!!!」
気が触れたかのように泣き喚く、のび太。
「大丈夫!大丈夫だからね!!」
なんだか分からないが、とにかく、抱きしめた。
こういう大きいパニックの時、
情けない私は泣けてしまうのだ。
泣きながら、もっと泣き叫ぶのび太をぎゅう〜っと抱きしめた。
「#%$&!&☆♪*%☆〜〜〜〜〜〜!!!
電気がぁ〜〜〜〜〜!!!!!」
ん?
電気?
そう。
のび太はいまだに私たち夫婦の間に寝ている。
怖いのだ。
部屋の蛍光灯に豆電球?をつけて、
さらに、枕元にライトをつけて寝る。
で、のび太が爆睡したころ、寝汗のすごいのび太なので、
汗を拭きにきたついでにライトを消すのだ。
その枕元のライトが、突然、消えたらしい。
も、もしかして、やっぱり、のび太・・・
・・・そういう能力があるんじゃないかと思っていたけど、
やっぱり・・・?
・・・と、ライトを触ると、
チカチカチカ・・・と、付いたり消えたりする。
「#%$&!&☆♪*%☆〜〜〜〜〜〜!!!」
「ぬゎ〜んだ!大丈夫!
ほら、電球の接触が緩んでいただけだよ〜
ほら、この電球をきっちり回して締めたからね、
もう、揺らしても大丈夫でしょ?」
「あ〜〜〜!もうやだ〜〜〜!!!
ボクは停電とか電気が消えるとか、絶対にイヤなんだ!!!」
のび太が4歳の真夏・・・。
出かけて夜、帰ってきて、電気をつけて、すぐに停電になった。
どうやら雷が原因のよう。
真っ暗な家の中、ありえない程の激しいパニックで、
ガタガタ震えて泣き叫ぶのび太。
最近ではほとんどありえないはずなのだが、
1時間近くも停電が続いてしまった。
真夏の暑い夜、真っ暗闇に稲妻がバリバリ光る。
雷が大嫌いの私も、のび太を抱きしめながら恐怖におびえていた。
あの日以来、のび太は暗闇が絶対にダメになった。
ちょっとトイレに行くのにも、廊下、階段の電気、
全部つける。
余程、あの停電の経験がトラウマになったのか、
もう絶対に暗いところは嫌いなのだ。
はじめから「ここは暗いのだ」と思っているのと、
電気がついていて明るいはずが、電気が消えた、というのでは、
心構えが違う。
そりゃ、怖い。
でも、でも、あのパニックは尋常じゃない。
あの4歳の停電パニックの時と同じようなただ事ではない叫び。
インフルエンザの予防注射のときも、
長靴で足がつって動けなくなったときも、
パニックで泣いたけど、これほどではなかった。
自分でも、ライトを揺らしてみて、
もう消えないことをしっかり確認して、
「もう、大丈夫ぅ〜おやすみぃ〜ヒックヒックヒック・・・」
と、しゃくりあげつつ、涙を拭いて布団に入ったのび太。
いつも、パニックのとき思う。
こんなとき、お母さんはどうしてあげればいい?
のび太、お母さん、どうすればいいの?
どうすればのび太の不安な気持ちが落ち着くのだろう。
のび太がパニくると、冷静を装いつつ、
私の精神状態も深い闇の中に落ちていく。
これほどの恐怖を訴えて、助けを求めているのに、
そばであたふたするだけの、情けない母親。
こんなとき、つい、のび太と一緒に泣いてしまうのだ。
なんて、ダメな母親。
私が泣いたりしたら、のび太もますます不安になるに違いないのに、
私のほうが気持ちは錯乱状態になる。
それなのに、体は固まってしまう。
のび太のパニックによるパニック・・・?
もっと、強い親になりたいなあ。