先日、日本で発売された土岐麻子さんというシンガーのアルバムに1曲だけ作曲で参加させて頂いた。
バンドではなく、完全に作曲という形での曲提供は初めての経験なのだが、やってみると実に楽しいもので、想像の中で歌っている人の声を追い、出来上がったものにゼロから考え出された歌詞がつく。
歌詞を書けない僕には、あっという間に物語が出来てしまうようなマジックで、完成したものを聴いてみると逆にこのストーリーのために曲が作られたような気さえしてくるのだった。
そんな風に感じさせてくれる歌詞と曲とのマッチングには、きっと素晴らしいアレンジのパワーがあるのだろう。出来あがった作品からは音楽的な共同作業の楽しさがたくさん伝わってくる。
初めて聴かせて頂いた時、思わず「音楽って楽しいなあ!」と言ってしまったのだが、本当にそんな気持ちにさせられる出来事だった。
音楽を聴きながらニヤニヤしてしまうことが良くあるが、それは自分が思う表現と、演奏者のした表現との間に共感できる部分があるからなのかも知れない。歌詞も含めて、共感の振動が聴いている人々に伝わってくれればと思う。
ベンは道で歌を歌い、ピカピカに磨かれたSUVからは、周りに地響きを起こさせるほどの音量でヒップポップが流れる。
この喜びを誰かに聴いてもらいたい。
ライブで演奏するよりもっと多くの人と、一度にいつでも楽しみをわかち合えるというのは、レコーディング作品を残すことの大きな意義であり、こういった機会を下さった土岐さん、スタッフ、ミュージシャンの方々に本当に感謝したい。
8曲目「サーファー・ガール」です