さて、以上のような経緯で「家の買い替え」を真剣に検討することになりました。この検討を開始したのが、2013年の10月ごろ、2人目の子どもを授かったことがわかり、妻が安定期に入ったころのことでした。まだ本当に買い換えるのか、タイミングはいつなのかといったことははっきりしていませんでしたが、まずは情報収集ということで、ネットで不動産情報を収集し、興味のある物件を実際に見に行くところから始めたわけです。ところで私は、不動産を選ぶときには、徹底的に頭と足を使います。まず「足」のほうですが、思い立ったらすぐに情報収集を始め、本命だと感じた物件だけでなく少しでも興味をもった物件があればどんどん業者に連絡を入れて見学をさせてもらい、単に「買いたい物件をチェックする」ということにとどまらず、周辺エリアの雰囲気や環境を確認したり、物件の相場観や設備のグレード感などについて「勘どころ」を短期間で習得することに全力をあげます。同時に、買おうと思っている不動産についての最新の知識をあらゆる手段を使って集め、勉強し、いい物件を的確に評価し、選べるように知識武装していきます。こちらが「頭」のほうですね。不動産については特にこれが重要で、さまざまな問題があって使い物にならない、「クズの不動産物件」がわんさかと溢れています。特に、土地から買って家を建てるなんていうケースの場合には、ぶっちゃけ「売りに出ている土地の半数以上はろくでもない物件だ」と言っても過言ではないのではないでしょうか。なぜなら、「住宅用の土地」というのは製品でいうと「最終製品」ではなく「原材料」であって、その買い主は個人だけでなく業者も含まれるからです。個人で土地を買って家を建てようという場合、ライバルは、同じように家を建てて住みたい個人だけでなく、「(建売住宅を建てたり、きれいに整備・分割して分譲地にしたりといった)付加価値をつけて転売して利益を得たい」という業者も含まれます。そして、業者のほうが資金力もあって情報も早いため、いい土地はだいたい先にそちらで押さえられてしまい、コネのない個人が見られるような場所(ネットなど)に情報があがる頃には既に「売れ残り」ばかり、という状況になりがちです。そんな「ろくでもない物件だらけ」の魑魅魍魎の不動産の物件情報のなかから、自分にあった物件を見つけていくためには、「ろくでもない物件をろくでもない物件だと見分ける」ための知識武装が絶対に欠かせない、ということになります。この「知識武装」の筆頭が、建築基準法をはじめとする建築上の法的規制に関する知識でしょう。用途・地域や建ぺい率・容積率、接道ルール、そして斜線規制・高さ規制などについて十分分かっていないと、ほぼ確実に「思ったような家が建たない」という事態に陥ります。それが嫌なら、信頼できる大手業者が建てる家を買うのが無難な選択ですが、その場合、恐らく「自分で全部選ぶ」のに比べると1000万円単位での「割高な買い物」をする覚悟が必要になると思います。そして最後は「足」と「頭」の融合です。先にも書いたとおり、実はネットなどの不動産情報に出てくる物件は、「情報の早い業者」や「資金力のある投資家」、「不動産業者が持っている見込み客リスト」などによる「買い付け」が終わったあとの「残りもの」であるため、正直、魅力的な物件には乏しいです。そこで、まずは多少でも条件に近い物件を見つけたらどんどん不動産業者とコンタクトをとり、物件を見せてもらいながら、営業マンに細かい希望や物件の気に入ったところと気になるところを伝えることで、先の「見込み客リスト」のなかに自分も入れてもらうのです。そうすれば、その業者のもとに希望に近い新規物件が入ったとき、ネットに掲載されるよりも早く連絡がもらえる可能性が高まる、というわけです。実際、以前セカンドハウスを探したとき、最終的に買った物件は、業者から直接「いい物件が新しく入ったんですがどうでしょう?」と連絡を受けた、ネットにまだ載せていない物件でした。それを即決して申し込んだため、この物件は結局ネットには出ませんでした。